初めてパナソニック 汐留美術館に行ってきた。新橋駅から徒歩5,6分のところ。ゆりかもめの駅のほぼ横にあたる。パナソニックのオフィス、イベントビルの一角で美術館も行っているという感じで、「新国立美術館」「東京都美術館」のように本格的な規模でもなく、「三菱一号館美術館」のような歴史ある建物でもない。しかし、限られたスペースに、所狭しと、多くの作品が陳列されていた。入場券は、1000円(大人)。
会社の方の勧めで、ギュスターヴ・モロー展の作品を見てきた。モローを意識して見たのは初めてである。モローは、官立美術学校の教授となり、マティスとルオーという巨匠を世に送り出している非常に美術界に大きな功績を残している人物である。モローは、「パリの真ん中に閉じこもった神秘主義者」と言われている。今回「サロメと宿命の女たち」が副題となっているように、ギリシャ神話の女神や聖書や歴史に出てくる美の女性などの妖艶さ、魅惑さ、艶めかしさを感じさせる作品を中心に集められている。特に、サロメの作品が多く展示されていた。
私も、ギリシャ神話に詳しくないので調べてみると、サロメは、「1世紀頃の古代パレスチナに実在した女性。義理の父は古代パレスチナの領主ヘロデ・アンティパス、実母はその妃へロディア。へロディアの娘を呼ばれ、イエスに洗礼を授けた洗礼者ヨハネの首を求めた人物として有名」である。
今回の展示においても、ヨハネの斬首の場に立ち会い、落とした首を盆に乗せて運ぶシーン、ヨハネの首を空中に浮かせているシーンが客の目に留まる。
他の作品としては、モローの母、恋人アレクサンドラ・デュルー、ヘレネ、メッサリーナ、デリラ、スフィンクス、メディア、オレファレ、セイレーン、クレオパトラ、エヴァ、一角獣、グリフォンの作品があった。
美術作品をいつ見ても思うのだが、写真の無い時代の絵画は、離れた所に情報を伝える、後世に自分を残すためにかけがえのない技術で、生前にその名を馳せた画家は、資産家、格式ある家系の方に生活を保障してもらえる程貴重だったのだろう。今回のモローの作品も、力作は、見入ってしまう程の完成度である。