Categories: 伝統芸能

落語鑑賞(10月)

いやー落語は楽しい。トリは、識字障害を公表した天才噺家、柳家花緑氏。

すっかり定期的に参加させてもらっている「JAL名人会」、今回で3回目になる。今回は、先回ご一緒した、ISさん、IKさんの他に、10年以上前に、マレーシア出張の際に、お世話になったMYさんもご一緒だった。久しぶりにお会いしただ、お変わりなく元気が溢れていらっしゃった。

さて、10月の演目は、以下の通り。

落語 JAL名人会(10月)
  • 開口一番 前座は、8月の演目と同じだったので割愛します。
  • 「科学の子」瀧川鯉八:二ツ目、古典落語ではなくオリジナルの内容。細菌注目の方らしい。本題に入る前に、前振りがある。色々話をしたあと、母親に「こんな顔に、産んでくれとは言っていない」と言うと、母親から「落語家になってくれとは言っていない」と切り返される話。本題は、後1つの知識をインプットすると完璧になる落語AI(人工知能)ロボット「ロボ八」の話。ロボットを作った博士は、ロボ八を作るために、女性に目もくれず人生を送ってきた。残された知識は、女性について。博士は、「女性はやたらに相談してくるらしい」という情報をインプット。ところが、ロボ八は、「知識に、「らしい」という曖昧な情報は受け付けられない、正確な情報が欲しい」と、博士にお願いをする。ところが、博士は女性を正確には知らないので、そこで、博士は、自分が聞いたことがある女性についてのいくつかの具体例を挙げる。「女性は相談しても解決して欲しい訳ではない、共感して、うなずくだけを求めているらしい」「優しいだけでは駄目で、導いてくれる男が好きらしい」「やっぱり、タイプの男が好き」「清潔感が大事」「ただし完璧過ぎると駄目、嫌われてしまう」。ロボ八は、ついに、混乱し、「こんなロボットに産んでくれとはお願いしていない」と博士に言い切る。
  • 「やかんなめ」柳家小八:2年前に真打昇進した方。通常、弟子入りすると師匠の家に通ったり、住み込みしたりするものだが、柳家喜多八師匠はそういうことをさせなかった。その結果、今はやりの通信制で教育を受けたと笑いを取る。本題は、急にお腹が痛くなり酷い時には意識を失うという「しゃく」という病の話。「しゃく」を治すには、色々な方法があり、その中で、自分にピッタリの「相薬」というものがある。江戸時代、ある商人の婦人が侍女を2人従え外出先で、「しゃく」の発作が起きる。この婦人の「相薬」が、家にある「やかんなめ」という。婦人は、意識を失い、困った侍女は、向こうからこちらに向かってきているお侍に、お頭に毛がないことに気づく。侍女の一人は、もう一人の侍女の止めることを振り切り、お侍に、お願いごとをする。お侍は、「今まで、お願いを断ったことがない」と言い切り接すると、「婦人に、お頭を舐めさせてあげて欲しい」ということを聞き、始めは怒り心頭だが、見栄を切った手前、困りごととあらばお頭を婦人の前に差し出す。婦人は、一生懸命、薬缶だと思い舐め繰り回す。お侍のお供も大笑い。婦人は無事に元気を取り戻し、お礼のためお名前と家を教えて欲しいと言うが、お侍は、お礼とは思わず、また舐めに来ると思い、断る。別れたあと、お頭がひりひりすると思ったら、歯型がしっかりついていた。
  • 「五人廻し」林家錦平:江戸時代の吉原女楼の話。関西では、必ずお客に女性が一人付くが、関東では、女性が複数の男性に順番に廻って付く。(今の飲み屋で言うバタフライみたいなものかな。)借金して1円払い一晩待てど待てど女性は来ない。そして、寝ずに朝を迎える。その女楼の2階の掃除係の男に、「1円返せ」と文句を言うが「返せません」ときっぱり言われる。部屋を出て回りの様子を見ると、何人も一晩女性が付かず過ごした模様で、皆が「1円返せ」と騒いでいる。ついに、女性が居る部屋が突き止めると、そこには、代官がいた。代官は、「この女には、他の部屋にいって良いと言ったのに、離れなんだ」と話し、皆に「申し訳ないと6円を皆で分けてくれ」と言う。女は、「私にも2円頂戴」と代官にお願いすると、代官は、2円を女に渡す。「この2円を渡すので、もう帰って頂戴」と代官に言い渡す、という落ち。
  • アルコ&ピース(漫才):平子祐希さん(41歳)と酒井健太さん(36歳)の比較的若めのコンビ。ネタは、都市伝説で扱われる女性の話。我々の世代でも一世風靡した「口裂け女」と、テレビや映画で、一世風靡したリングに出てくる「貞子」を演じる酒井氏を、自称イタリアラテンのイケメンの平子氏が、口説き落とすという設定。結構面白かったです。
  • 「あたま山」柳家花緑:祖父柳家小氏に弟子入りし、戦後最年少22歳で真打になった方。落語界に所属している人は、850人。そのうち世襲は30人。更に幼いころからの落語家は柳家正蔵(こぶ平)くらい。いかにマイノリティであるかを笑いにつなげる。更に、4年前、発達性障害である識字障害を持っていることをカミングアウトされたことで、更にマイノリティになった。落語の話を書いて覚えるのには非常に苦労したとしながらも、そういう障害の裏返しで、過剰集中、多弁症で永遠とは話し続けられる、快感でたまらないのだそうだ。普通の会話だと、相手の話も聞かなくてはならないが、落語の噺家は、自分のペースでずっと話をしても、お客がずーっと聞いていてくれるので最高だそうです(笑)。「名人会」出演が決まると、向こう2年間演目が被らないように過去リストと共に依頼が来るらしい。しかし2年となると選択が厳しく、誰もやらないネタをこの日のために覚えてきたそうだ。この誰もやらないのには訳があり、「技術的に難しい」か「つまらない」とのこと。今回は、「つまらない」部類とのことで、本題に入るのをできるだけ遅らせていると笑いを取る。本題は、入るものを好み、出る物を嫌うけちん坊の「江戸のケチベエ」の話。桜の種を食べ過ぎて、枝垂れ桜の樹が頭に生え、江戸の人気者になり、抜くと水が溜まり池になり、最終的には、その池に身を投げるという話。話自体は確かにつまらないのだが、花禄の話術は、非常に面白いです。すっかり引き込まれました。

落語鑑賞後の恒例の新橋飲みに繰り出し、4人で会話。久しぶりにお会いしたMYさんは、人生の中で、今一番歯を大事にしているとのこと。近所にできた歯医者で非常に親切に歯の指導、クリーニングをしてくれ満足をしているそうで、80歳まで歯を20本維持するように頑張るとのことです。この歯を大切にすることの素晴らしさを、多くの人に伝えたいとおっしゃっていました。

次回、11月も「JAL名人会」参加予定です。

Ohtani Hisao

1967年生まれ。高校卒業まで大阪→名古屋→福岡→島根で生活。今は、神奈川県逗子市に在中。都内の会社に勤め、同居は、妻と子供2人(2020年時点 大学生)。無理をしない程度に、読書、映画、美術鑑賞、スポーツを楽しんでいます。特に2019年春からSUP(Standup Paddle Surfin)に奮闘中です。ブログで奮闘ぶり更新中です。

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