悩んだ挙句、25日の「JAL名人会」(落語鑑賞)に行ってきた。予想通り、入りは7割くらい。噺家からも、予想通り「命がけで来ていただきありがとうございます。」とのネタ。ほとんどの人がマスク着用しているが、してない人もちらほら。落語なので、若い女性も居るが、ほとんどが60代以上なので、一応マスクした方が良いのにと思いながら、供給が間に合っていないので手持ちがないのかもしれないしね。
さて、今月は、先回のように遅刻ということもなく、普通に進行した。やはり、トリの「五街道雲助」氏の引き込むような噺ぶりは、最高だった。
開口一番 前座:「転失気(てんしき)」の噺。これは「知ったかぶり」のネタで、初めて落語を楽しんだ逗子講演で聴いたので、演者には申し訳ないが楽しめなかった。でも、噺の様は上手だった。噺の流れは、知ったかぶりをする和尚さんがいて、医者に行った際に、「転失気はありますか?」と聞かれ、意味を知らないのに「無い」と答えたが、薬が処方されるので帰宅後気になってしょうがない。そこで、弟子に聞くが、分からないという。「今後のため、調べてみなさい」と言い、花屋では、2つあったが、1つは人にあげた、もう一つは、先日食べた、とのこと。どうもよく分からない。薬を取りに行く際に、医者に聞いてみなさい、という。医者は、「屁」のことだ、と教えてくれたが、弟子は、和尚さんを揶揄うために、和尚さんが大切にしている「盃」だと和尚さんに伝える。これで安心した和尚さんは、医者が来た際に、「家宝の転失気をお見せする」というが、お医者は今まで転失気を見たことが無いので驚く。で、弟子が揶揄っていたことが分かり、和尚が怒るという話。
狸札(春風亭愛橋):人間の世界に興味を持っている子狸が、お墓参りの帰り、子供たちにいじめられたが、そこで、ある人に助けられる。親にそのことを告げると、その人に3日間恩返しをしなさいと言われる。初め断られるが、受け入れてもらえる。翌朝、子狸は、子共に化ける。その人は、今日越後の呉服屋が八円の借金取りに来ると悩んでいた。そこで子狸が、10円札に化けて、呉服屋にもらわれていく。お礼として、焼き芋も渡す。しばらくすると、子狸は、「さつ」走ッと、「さつ」まいもを持って、呉服屋が持っていた他の「札」も持って、警「察」に追いかけられてきちゃがダメでしょ。※「さつ」を4つ掛けた落ち。
弥次郎(柳家小せん):人のために「嘘をつく」ことは、お釈迦さまも良しとしている。弥次郎が岩田の隠居のところで、南部のおそれ山に行った旅の報告に来る。隠居は、その報告を聞くが、話には矛盾がいっぱい、でも、人を喜ばせる嘘噺なので楽しく聴いて、矛盾を突っ込むが、容赦なく弥次郎は、話を展開していく、そして、最後まで嘘噺を突き通すという噺。
不動坊(桂扇生):色恋ってやきもちがつきもの。いい男と美人のカップルにはやきもちを焼かないが、美人に、そうでない男がついている、「どうして」とやきもちを焼いてしまうもの。利吉という真面目に働きコツコツお金を貯めてきた男が長屋に住んでいた。そこの大家が、お嫁を世話してやるという。それは、同じく長屋に住んでいる先日夫を亡くしたお滝さん。すごく美人で、利吉も気になってしょうがなく、この気を紛らわすために、「本来は自分の嫁であるが前夫である男にしばらく貸している」と思い込んでいた。利吉は、有頂天になったが、そこには条件があった。前夫が遺した借金を含めてお滝さんをもらう必要があるというもの。早速同意し、嫁入りの準備に入る。ところが、同じ長屋に住む男たちは納得いかない。そこで、前夫がお化けで出てくるという企みをするが、その企てがお粗末で、大失敗。利吉の株が上がるという噺。
新山真理:1982年「新山絵里・真理」で、お笑いスター誕生に出場し、美人コンビとして有名だったようです。彼女は、ベイスターズ(当時、太洋ホエールズ)の大ファンで、ネタとしては、巨人のスターティングメンバ―を1番~9番までをこき落とすことをやっていた。当時の4番バッターは、原辰徳。巨人が3年連続優勝を逃した時に、その納涼会で、何故か「新山絵里・真理」が呼ばれ、余興トップバッターでネタを披露することになったが、あまりにも暗ーい雰囲気の中、頭が真っ白になり「明後日結婚される原さんは、(子供を作る)チャンスはきっと空振り」ということを想定外に言ってしまい、更に暗い雰囲気に。駒田選手には、「駒田選手は、現役後もプロレス界で活躍する、ジャイアントロバとして」というネタで更にどん底の雰囲気になった、という思い出話を披露してくれた。
幾代餅(五街道雲助):男の恋煩いの噺。挽き米屋で働いている清蔵が、元気がなく働かない食事もとらない、医者に掛かってもどこも悪くない。主人と婦人は困ってしまった。婦人が、気にせず困ったこと言ってみなさいというと、清蔵は、吉原の姿海老屋の幾代太夫という絶世の美女の錦絵をみて、すっかり心を奪われてしまう。主人は、兎に角清蔵を元気にするため1年間真面目に働いたら幾代太夫に逢わせてやると約束をしてしまう。清蔵は、それを信じ、1年間眠る時間も減らし、一生懸命働き続け、13両2分という大金を貯める。清蔵は、それを持って幾代太夫に逢いに行くという。主人は、一晩のために、しかも、幾代太夫と人気者であるため会えるかも分からないのに、お金を使うのは反対という。しかし、それでも吉原に行くというので、その心意気に感服し、主人は、清蔵に15両持たせ、良い服を着させ、吉原に通う医者に相談し、「醤油問屋の若大将」ということで、吉原に送り出す。運よくキャンセルが入った幾代太夫に逢えたのだが、緊張して一晩何もなく過ごす。朝になり、幾代太夫は、社交辞令で、「またすぐに来てください」という。ところが、清蔵は、自分の身分を明かし、次来るのは、また1年後になると伝える。幾代太夫は、今まで、見栄を張った男たちばかりを見てきたので、そういう心底真面目な男を気に入ってしまい、「3月に吉原の務めが空けるので、嫁がせてもらえないか」と持ち掛ける。清蔵はもちろん受ける。しかも、幾代太夫は、一緒に生活するためのお金50両を清蔵に託す。その後、清蔵は、「3月、3月」とばかり口ずさみ、周りの者は、どうかしちゃったと同情する。ところが、3月14日、米挽屋の店前に、幾代太夫が現れ、皆を驚かす。そして、夫婦になり、50両を有効に使い、「幾代餅」という名で、両国広小路で売ると、幾代太夫会いたさに、多くの客が押し寄せ評判になった。子供も3人もうけたという噺。