この映画も、ノンフィクションの作品。2010年4月20日、メキシコ湾沖約80kmにある洋上に浮いている巨大な船のような石油掘削施設である「ディープウォーター・ホライゾン」の大事故火災をテーマとしたもの。
イギリスのエネルギー関連事業を展開する多国籍企業あるBP社が、掘削の日程遅れと費用削減のためセメントテストを省略して担当者を引き上げさせた。その後現場に到着した技術者である映画での主人公マイク・ウィリアムズとその上司である無事故を誇るジミー・ハレルが、そのセメントテストを実施ていないことを強く指摘するが、BP社の責任者は、実施無くても大丈夫である理由を並べ立て止む無し、プレッシャーを行う。初めは順調に進むが、不可解な装置メーターの値を目にするが、それがNGとの判断も付かず、もう一度実施することになる。マイク・ウィリアムズとジミー・ハレルが自室でくつろいでいるときに、事件は起きた。泥が想定上に逆流し、ガスが施設内に漏れ出した。それが、エンジンか空調のところまで届き、爆発が起きる。映画の中での爆発のシーンはすごい。見始めたら最後まで引き付けられてしまった。
施設内には作業員126名が作業をしており、被害を軽減しようと努力するが、炎の勢いは止めることが出来ず、救命ボートや、施設から海に飛び込むことで難を逃れる方がほとんどだが11名の尊い命が犠牲になる。主人公のマイク・ウィリアムズは、負傷者の救出や非常用電源の修理などの対処に追われ、ボートに乗ることができなかった。同様に残された女性アンドレア・フレイタスを、ヘリポートに逃げるが、そこももう炎がやってくる直前。彼らは、海に飛び込むしか残された道がない。アンドレアは、飛び込む恐怖から残ることを選択する。そこで、マイクがあある行動を取る。(実際に、そういう会話がされたのか、映画を面白くするために作った脚本なのかは分からないが)。
この事件は、アメリカ合衆国の油田採掘で最大の犠牲となり、先ほどの11名の人命だけでなく、数か月原油が流れ出し、メキシコ湾に1日1,900-3,000Kℓ、最終的に約78万キロリットル(490万バレル)が自然界にダメージを与えた。世界で第二位の流出量である。石油は、現時点でもなくてはならない資源であるが、こうした現場の犠牲の上に成り立っている。BP社のように遅延と費用からやるべき工程をやらないことからたまたま発生した事故を、私たちの仕事、生活でも他山の石(教訓)として考えていかなければならないと思う。
この映画で、石炭って、太古の植物が炭化したことによってできたものって知っていたが、石油って、化石燃料とは言われるが、あまり意識したことが無かった。WiKiによると「百万年以上の長期間にわたって厚い土砂の堆積層に埋没した生物遺骸は、高温と高圧によって油母 (en:kerogen) という物質に変わり、次いで液体やガスの炭化水素へと変化する。これらは岩盤内の隙間を移動し、貯留層と呼ばれる砂岩や石灰岩など多孔質岩石に捕捉されて、油田を形成する。この由来から、石炭とともに化石燃料とも呼ばれる。」らしく、同じく太古の恐竜などの成分からできたものというのが学説の主流とのこと。また、映画の中で興味深かったのは、原油はどうやって地下から洋上、地上に出すのかの説明を、コカ・コーラを使ってマイクの子供が説明していたシーン。なるほどと思った。