イギリスのエリザベス2世の高祖母(おばあさんの直系で1つ上の世代)に当たるヴィクトリア女王(Wiki)。数年前に、エリザベス2世に抜かれましたが、その前の最長在位期間63年7か月の記録を持つ。そんな彼女の晩年の生活をワクワクさせたインドの青年との話。
時代は、1819年5月24日 – 1901年1月22日なので、まさに大英帝国時代で、イギリスがインドを1887年に制圧し、初代インド皇帝になった人物である。
インド皇帝29年目、イギリス在位50年を記念して、「モハール」という記念硬貨を女王に送るために、二人のインド人がイギリスに派遣される。その記念式典の時に、その二人は、女王に硬貨を渡す。しかし、女王は、周囲の人たちが自分に目を掛けてもらう行動や、夫を失って30年生きがいを感じなくなった生活に生きる意味を失い、その記念硬貨にも全く関心を示さない。しかし、インド人のうちの一人、背が高くてハンサムなアブドュル・カリム氏に女王は高い関心を持つ。
女王は、自分が統治する(と言っても、本人は世の中の状況を正しく把握していない)インドの異文化と、カリム氏の教養溢れる話に夢中になり、イスラム世界のウルドゥー(イスラム語)を習い始める。周囲は、周囲の家族、世話役は女王の寂しさを理解せず、女王の権限で有色人種に異例の待遇をし始め、キリスト教の国教の長が、インド、ヒンズー、イスラムに関心を示すので真っ青になる。早く、カリム氏を引き離そうとあらゆる手段を高じてくる。その寂しい、辛い胸の内を、カリム氏に打ち明ける。そして女王は、カリム氏を「ムンシ」(先生)と呼び、宮内に、改築しインドの間を作り、そして、カリム氏の妻、義母をインドから呼び寄せる。
途中、カリム氏から教えてもらった話が、真実はインド反乱時イスラム教徒が暴動を画策し、2千人の駐印英国人が殺され、女王陛下に死刑宣告を要求したという全く違っていたことと知り、怒り、即刻帰国を命じるが、考え直し、再び彼を傍に付ける。そして、最期の時も、彼は死を恐れる女王に、「あなたは安息の地へと向かっているのです。」と、気持ちを楽にさせてあげる。「永遠の宴ね」「さようなら 私の女王」、「さようなら元気な私の愛する息子」という会話を交わし別れる。
ヴィクトリア女王は、国を、世界を制覇することに興味はなく、様々なことに関心を持ち、人に対して偏見を持たない、そして、洞察力、観察力に優れた優しい人だったのだろうと映画から感じた。
映画の中で結構笑えるシーンやいい言葉のシーンが織り交ぜられている。
女王の死後、息子エドワード7世は、女王とカリム氏の関係を示す手紙、物などは即刻焼却を実行し、即刻帰国を命じる。カリム氏は、インド アグラにあるヴィクトリア女王の銅像に仕え、8年後の1909年に死亡する。インドは、1947年に独立した。二人の関係を示す記録が2010年に発見され、この映画に結びつく。