稼ぐAI(中西崇文)


人工知能AIのことを概要を知ってビジネスに使いたいと思う人にとってちょうど良い内容。

人工知能(AI/Artificial Interigence)というキーワードは、現在非常に認知度があり、また、非常にビジネス界ではホットな話題である。

業務改革、イノベーションという名のもとに、人工知能を取り入れたシステムの導入を急ぐ会社もある。しかし、この人工知能の本質を理解していないと、意味のない取り入れ方になってしまうことがおうおうとしてある。本書は、そういった人工知能を会社に取り入れる際の注意事項というか常識を学ぶためのもので、技術的な観点というより初心者に向けては、分かりやすく非常に幅広い知識を提供してくれる良書と感じた。

人工知能技術をビジネスに導入する場合、「人工知能導入」が目的化されてしまう。正しくは、「業務上困っていること、世の中の社会問題、環境問題などで解決したい課題」(イシュー)を明らかにすることから始める必要がある。その内容によって、人工知能が相応しい解決方法なのか、同様に注目を浴びているルーチン業務の業務改革となるRPA(Robotic Process Automation)なのか、両者を組み合わせたものなのかを判断する必要がある。

実は、人工知能(AI)の概念は広く、この本では、「人間の思考プロセスをモデル化した処理を含む技術の総称」としている。この中には、「強い人工知能」と「弱い人工知能」があり、映画ターミネーターなどは前者で、まるで人間ように振舞うものを指す。一方、人工知能を含んだサービス、ロボットなどは通常後者に相当する。つまり、ほとんどは特化型人工知能のことを指す。人工知能の中には、機械学習(Machine Learning)、更にその中に深層学習(Deep Learning)が位置する。機械学習は、データ学習させ規則やルールなどを見つけ出すこと、深層学習は、ニューラルネットワークという手法をネットワークを多層にすることで、より性能を上げた処理という位置づけである。2,3年前から流行っている「スマートスピーカー」は、「弱い人工知能」の深層学習の成果物である。

人工知能で適用可能なイシューの条件は、以下としている。

  1. 「〇〇を自動化する」といった規模のイシューに分解されていること。
  2. イシューを解決するために必要な要件セットが漏れなく規定されていること。
  3. 上記の2で表す各要件についてデータで取得可能なこと。
  4. 上記3のデータからイシューを解決するために必要な解釈が可能なこと。

要件出しでは、MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)「お互い重複せず、全体に漏れがないこと」が肝要である。また、人工知能ができる「5つの自動化」項目は、

  • 分類:入力データの状態を過去のデータから判別
  • 回帰:目的となる数値を過去のデータから導き出す
  • クラスタリング:与えられたデータの中で、似たもの同士をグループ化
  • 推論:与えられた問題に対して、予め溜めていた知識、データから新たな答えを導き出す
  • 探索:指定されたキーワードや条件に合致したものを見付ける

この本では、この人工知能を使うことは一見難しそうに捉えられている傾向があるため、積極的な普及に至っていない。実は、それほど難しくなく、手元のパソコンで体験することで、もっと身近に感じて様々な課題(イシュー)を解決して欲しいとしている。

実は、先日、同じことを会社内の深層学習(Deep Learning)の専門家の方にも言われた。これらの人工知能を使った開発にとって、非常に重要な資産は、インプットするデータであり、そのデータ取得、データ加工、プログラムへのインプット業務が、比率的に7,8割を占める。逆に、プログラム自体は、フレームワーク、ライブラリなどが揃っており、その他の雑多の案件を含めても2,3割くらいの負荷しかないとのこと。まず、その事実を体験することが重要なので、私にも自分で体験してみるように勧められた。

現在進めている新規ビジネスでも、近日Deep Learningを使った試みをするので、向学のためにも自分で使ってみようと思っています。

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