落語鑑賞(11月)


柳家さん生の「亀田鵬斎」は良い話だった。

早くも4回目。一か月経つのが早い。今回は、YMさん、ISさん、IKさんとご一緒。開演開始5分前にすれすれ間に合った。

落語 JAL名人会 11月
落語 JAL名人会 11月

・前座:弟子を連れて酒を飲むときに、いつも奢ってばかりの師匠が、「たまには、お金を持っているものが奢るってのはどうだ」と提案するが、誰一人(7,8人は居そう)手を上げるものは居ない。じゃあってんで、「酒は出すから、お金がないなら行きつけのお店で、酒の肴でも調達してきな」という。行きつけが無い弟子(一人)に、洗濯物の取入れ、お茶、まな板、包丁などの準備などさせる。早速、帰ってきた弟子は、なんと鯛の尾頭付き。師匠がどうした?と聞くと、買ってもない、もらってもない、盗んでもないという。どうやって手に入れたかと聞くと、「何の気なしに」魚屋の前で、店の者が寝ているので、起こして猫が鯛を持って行ったと嘘を言う。するとお店の者が猫を追いかけていなくなる。魚の桶の蓋を開けると鯛がいる。店の者が戻って来て、鯛があるのに気づくと、自分が嘘つきになるので、嘘がばれないように、鯛を持ってきたとのこと。次から次に弟子が帰ってくる。皆それぞれ鱈の乾物、数の子の乾物、すべて乾物屋から、うまいことくすねてきたもの。鰹節は、乾物屋の子供が原っぱで遊んでいるところに、鬼ごっこするから角が2本欲しいといって手に入れ、鬼に扮して怖がらせて逃げたので持ってきた。次に、原っぱにあった味噌を持って帰ってきたという。これは、師匠は、う〇こに違いないと思い、箸で割ってみる。判断付かない。箸で摘まんで匂いを嗅いでみる。判断付かない。もう食べるしかない。味噌だ。これも、醤油など一緒に自転車が原っぱに倒れていたかごの中のもので、自転車の持ち主は、乾物屋。「何かにおうにおうと思ったら角の乾物か」が落ち。

「浮世床」春風亭昇々:都会の通勤時間の満員電車は、皆イライラしている。電車で実際にあったこと。若者が座席に座っているところへ、おじさんがお年寄りに席を譲りなさいと忠告する。すると若者が「席譲るほど年を取っていないと思う」と若者が返す。「私じゃない、あちらのおばあさんだ」すると、振られたおば人は「私はあなたに言われるほど年を取っていなし、そもそも男ですから」と、余計なおせっかいが2重の失礼をしたという話。身動き取れないほど混んでいる電車の中で、自分の前の若者が、上着のジッパーをずーっと上げ下げしている。変な奴の前に来たいなと後悔し、正面に向かないように姿勢を変えていた。それでもずっと上げ下げしている。何の気なしに、自分の股間を見ると、社会の窓が全開だった。一生懸命に伝えようとしてえくれた優しい若者だった。さて、枕は終わり本題へ。ぐうぐう寝ている八さんに、仲間が「八さん、1つ食わないか」と言って起こす。「どうしてそんなに寝ているんだ?」と聞くと八さんは「美人が寝かせてくれねえんだ」と。「どんな話か聞かせてくれ」と言われ、八さんは、昨晩芝居を見に行ったら席に座れなく立っていると、前にいる女性2人のうち一人がとっても美人で、自分の代わりに、掛け声をかけてくれと頼む。そこで、「掛け声かけるタイミングが違うので、体のどこでも良いから擦ってくれ」との頼む。腹が減ったなと思うと、女性が、大間のマグロ寿司詰めをくれたので食べると、擦られるので慌てて掛け声をかけると前の人の頭にご飯粒を掛けてしまった。芝居が終わると、女性の姿が見えなくなった。そこに、「表であなたを待っている人がいる」と言われるので、表に出てみると、その美人が「あなたは、こっちやるんですか?」(酒)と聞くので、ここは付き合わなければということで快諾。二人でしこたま盃を重ねたので、トイレに行きたいが美人がいかせてくれないので、そこにある竹筒に何本もおしっこをする。その後、ふかふかの絹布団が用意され、入っていると、その美人が「私も入っていい?」と聞くので「自分で決めなさい」というと「入ることに決めました」と言って入ってくるところで「八さん、1つ食わないか」と声がして目覚めたってわけだと。なんだ夢の話か、どおりで、湿っぽい話だと思ったよ。(寝じょんべんしていたので)

「弟子の強飯」春風亭百栄:枕話として、落語は言葉でそのシーンを想像するので頭に良いと言われている。名人になると、ちょっと話すとすぐわかる。実はこれは、分かりすぎて良くないんです。それに比べ、私の噺は、分かりに憎いので色々考えさせられるので頭に良いんです。(笑)自分が今まで一番うれしかったことを聞かれます。普通は、最上位の真打、師匠の家に通い身の回りの世話から解放される二ツ目ですが、私の場合は、弟子入りを許可された時。22歳~32歳までロスの寿司バーで働いていた時に、客としてやってきた粋なおじさんが今の師匠。弟子入りにも色々ありますと話し、本題に入る。通常、「師匠に対して弟子入りさせてください。」とパターンだが、師匠が「私の弟子になってください」と言ってくるパターンがある。実は、この弟子候補は、高校二年生。非常に振る舞い、しゃべり方が板についており、この子に目を付けたのは7,8年前で、ランドセルを背負って床屋に入ってきたとき、「親方、ひとつやってくんねー」と言い、床屋の親父と「酒」「ばくち」「吉原」の話をうまくしている。そこで、高校二年生を期に、「他の師匠に取られてはなんねえ」と、この度声を掛けさせてもらったとのこと。高校生は、しばらく考え込み、「そろそろ年貢の納め時だと思っていた。御酒とおこわ飯を用意してくだっせー、食べ物の好みを伝えて、(我が身を)あずき(預け)ましょう」という落ち。結構テンポよく、面白かったです。

「熱血怪談部」林家彦いち:枕話。禁止している録音行為を時々見かけます。そういうとき、声を出さずに、目くばせで「駄目よ」と二人だけの会話をしている。ある時、おばさんが、指摘を受けて慌てて機器に手を伸ばしたところボリュームの高低を逆にしてしまったらしい。枕話を始めるときに「録音を始めます」と、会場に聞こえる音量が流れた。そして、これから本題に入るときにも目くばせしたら、「録音を停止します」とこれまた会場いっぱいに流れた。なぜよりによって、これから本題なのにこのタイミングで録音やめるかなーと思った、という話。(笑)彦いち氏は、柔道経験があり、最近、異業とのコラボレーションもある。もうひとつ実際にあった話として、格闘家とのコラボがあった。終わった後、帰りの新幹線で、喫煙指定席から禁煙席に代えてもらった後、一人の格闘家が近づいてきて、「あなたは何をされてる方ですか」と聞いてくる。さっき、落語を見たばかりなのですが失礼があったらいけないので「噺をしています」というと「話すことが仕事なのですか」と聞いてくる。その後、色々会話するが、何度言っても話の理解がされない。ちょっとメモリが小さい方だったようで。段々辛くなってきたので、「今から禁煙席に席移ります」というと「どこでも良いです。隣に座ります」というので「指定席の確認しなくてもいいのですか」と格闘家に聞くと、「自由席ですから」という。(笑)「自由席」は、どこでも自由に席が選べると思ってる人だったという話。本題は、学校文化部に「怪談部」があった。そこの顧問の先生が体育会系の超熱血教師で、部員が怖い話をしてくれない。ある夜、戸締りを見回っていると、体育館の隅で泣いている女性がいる。ここに800年住んでいる「のっぺらぼう」。熱血顧問は、のっぺらぼうに駄目だしをし校庭10周の罰を言い渡す。また、2階で23年前に体育教官室で殺された長い髪の霊に対して「髪の長さとスカートの長さが校則違反」と言って駄目だしする。その後、教室で砂掛けばばあ、猫娘など妖怪が居る。でも結局は、熱血顧問もろくろ首で、近所の人が、ここの廃校は、最近「夜になると、駄目だ駄目だ」という声が響くという話。実際に話を聞くと面白いですが、こうやって文字にすると熱血度が伝わらないです。

くれないぐみ:コンビ結成31年の女性2人の漫才コンビ。東京と大阪出身者ということで、東京と大阪の違いを小ネタ、豊かな二の腕ネタから大坂おばちゃんネタ、何べんも使っていたセリフが「表は蕎麦屋で、裏飯屋」で、最後の落ちもお腹が空いたので、銀座に行こうかと誘ったら、「銀座に行かなくても、ここの「表は蕎麦屋で、裏飯屋」。正直、ちょっと微妙な漫才ネタでした。

「亀田鵬斎」柳家さん生:枕噺。名人は、住んでいる町名で誰のことが分かる。自分で言い出すわけでなく、周囲が自ずとそう言うようになる。また、必ず誰かが継承すると考えられているがそうではない。名人上手は、お金より心が動くと仕事をする。つまり、お金や住むところには無頓着な生活をしている。本題。亀田鵬斎(かめだほうさい、江戸の文化人)という下谷金杉に居を構えているが、非常に高名な書家にも関わらず質素な暮らしをしていた。孫(しんきち)が家に遊びに来、友達と遊んでいるのを、仕事をしながら声で確認していたが、やがて子供たちの声もなくなったものの、孫が帰ってこない。これはまずいと思い、周囲を探したが全く見付からない。勾引かし(かどわかし)にあったのではないかと心配になる。そこに、一人の男が、亀田鵬斎を探しに家にやってきた。友達とはぐれて泣いているところ、声をかけ今彼の屋台で寝ているとのこと。確認してみると確かにその通り、心をなでおろす。鵬斎は何かお礼をしたいだ、家にはお礼に渡せるものが全くない。そこで、屋台の行灯に、「おでん 燗酒 こしょうじ 鵬斎」と書き、それを贈った。その屋台の男は、学が無いので、鵬斎のことも知らなければ、書かれた字も読めない。ちょうど行灯に手を入れようとしていたところなので、非常に男は喜んだ。すると、屋台に客としてやってきた吉原のご隠居さんが、1両を置いて、鵬斎の行灯を持って行ってしまった。その1両は大金だが、屋台の男は、自分はおでん、燗酒を売って商売している身、行灯を売っているわけではないと、鵬斎のところへ行き、1両を返す。鵬斎は困って、では1両はもらわず預かるとして、代わりに行灯をまた贈った。すると、25,6歳の若侍が噂を聞きつけて客にもならず行灯を奪い、5両を置いていった。屋台の男は、鵬斎に5両を返しに行く。そして預かられ、また行灯が贈られる。若侍は、行灯の書簡を掛け軸に楽しんでいると、それを欲しがった上役の侍が、屋台を探しに探して見つけると、大勢の侍で屋台を取り巻き、25両を置いて、屋台ごと持って行ってしまった。この顛末を鵬斎に伝えると、「では、合計31両あるので、そろそろ歳を考え、屋台をやめ、店をもったらどうか」と男に進める。男も快諾した。そこで鵬斎は、「では、『四ツ谷 へいじ豆腐店』の看板を贈る」と言うと、男は、「それはご勘弁、こんどは、店ごと持っていかれる」と嘆くという落ち。結構、噺の流れも良く面白い話でした。

落語の後は、お決まりの秩父ゆかりの飲み屋で会話と「ひしゃく菜」を楽しみました。

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