13days(2001年)
1962年、第三次世界大戦寸前で回避できたのは、相手、平和を信じる強い心の力だったのだろう。
東西冷戦(1945~1989年)の時代、アメリカ合衆国とソビエト連邦共和国の間には、直接の戦争は起きないが、代理戦争だったり、ひたすら核の拡大をすることで、力誇示勝負をすることで威嚇しあうという話は学生時代よく耳にしていた。まさに、映画タイトルそのもの、アメリカ合衆国の「スターウォーズ計画」という言葉も出ていたことを思い出す。
そういう時代の真っただ中、アメリカ合衆国の当時若き大統領ジョン・F・ケネディの時、「キューバ危機」があり、一触即発の時があった。まさに、一歩間違えると、冷戦から、第三次世界大戦が勃発するスレスレの時を、ケネディは兄弟(弟、司法長官ロバート・ケネディ)と共に乗り越えたという話を、主人公大統領特別補佐官ケネス・オドネル(ケビン・コスナー)の視点で描かれている。大統領特別補佐官は、大統領を正しい道に進むように補佐する役目であり、補佐官の意見一つで、最悪の結果を生むこともあり得るのである。
アメリカの偵察機のカメラに写った、キューバ内にある核中距離ミサイル(ワシントンまで到達可能)に対して、ロシアに排除を求めるが、ロシアはそれを根拠のない当てつけだと突っぱねる。そういう平行線が続く中、アメリカ軍部は、早く戦争に持っていきたくてしょうがない。それに対して、ケネディ兄弟は、戦争を回避するために何とか交渉を成功させたいが、何を正として信じ判断すれば良いかに苦慮する。
ソ連のフルシチョフ大統領と近い人物への接触を試みる。ただし、ソ連の交渉相手が信用置けるかは判断が難しいところ。そこをケネス・オドネルは、その交渉相手とフルシチョフの接点の事実関係を分析。この二人の接点が「戦友」であると断定。そこで、交渉相手を信じ、交渉条件を出す。すると、ソ連から、トルコ国内にあるアメリカのミサイル撤退の要請が来る。アメリカとしては、着々とキューバ内で、ミサイルが完成しつつあるタイムリミットから、この条件を飲むわけにはいかない。そこで、ロバート・ケネディは、非常識な条件として、半年後にトルコからミサイルの排除をすることを約束する。
こうして、ミサイル発見から発射可能体制構築完成までのタイムリミット13日破直前で、ソ連はミサイルの解体を開始し、第三次世界大戦は回避されたという話。非常に、ハラハラする深い内容の映画だった。事実を基に制作しているので、ロバート・ケネディが自国の軍部を敵に回し、自分の信念を屈せず、いかに世界の平和を考え抜いたかということを2時間半の超大作で感じ取ることができた。
最後にソ連の判断に委ねた後、自宅に戻ったケネスは、妻に「翌日太陽が昇ったら、良い心の人間のお陰だ」と伝え、朝を無事に迎えるシーンがある。また、「神よ 海は広く 私の船はあまりにも小さい」というジョン・F・ケネディの信念が記載された卓上のプレートをケネスが手に取るシーン。映画のエンドロールの直前に、ジョン・F・ケネディが遺した言葉が流れる。「我々が求める平和とは? それは真の平和 生きることに価値を与える平和 一時ではなく永遠に続く平和である 人間がもたらした問題は人間が解決できるはずである 我々は究極には同じ輪で繋がっているのです 誰もがこの小さな地球に住み 同じ空気を吸い 子供の未来を思いやり 命を終えるのです」
今の世の中、こういう発言をし、世界を広い目でリードしていく政治家がいないなあとつくづく感じる。