理系の端くれの私にとって、この森さんの小説は、「どストライク」なのです。
何が、「どストライク」なのかというと、数字と言葉が織りなす文章の絶妙さです。
2014年に「すべてはFになる」で、ドラマ化されましたが、それ以前から彼の小説は一時期読み漁っていました。
この「すべてはFになる」を含む「S&Mシリーズ」(計10)は、犀川建築系工学教授のと、その研究室所属の超美人好奇心いっぱいの女子学生西之園萌絵が、研究室の仲間たちと、密室殺人事件をロジカルに解決していくミステリーです。話の端々に萌絵から犀川への明らかなアプローチがある。最後には、ハッピーエンドになるのですが、このもどかしさもこの小説の魅力です。
他、「四季シリーズ」、「Gシリーズ」「Xシリーズ」「百年シリーズ」が私のお気に入りです。
という私が、しばらく、森ワールドから離れていたのですが、森博嗣を私よりこよなく愛している職場の後輩がいて、彼女から、Wシリーズ面白いよとの情報をもらい、読み始めたのがこのシリーズ。
何百年後の世界なのだろう。ウォーカロンという人間と見分けのつかない、人間と比較し唯一生殖能力だけがない生命体と、AI知能が登場し、覇権争いを行っている。主人公は、ハギリ教授。
彼は、人間と、ウォーカロンの判別装置を開発しているが、命を狙われる。そこへ、並外れた戦闘能力をもつウグイ、キガタ、アネバネ達が身を守ってくれる。ハギリは、世の中の覇権争いを、ロジカルに解決していくのだが、ここにも、ハギリとウグイとの微妙な恋愛感情が見え隠れする。ここももどかしい。
そうそう、この時代では、人間は、何百年も生きられる。それは、ケガ、病気のもとになる部位を、人工培養臓器に差し替え続けることで実現されている。その代償として生殖能力がなくなっている。人工培養臓器を持たない生殖能力がある種族が保護区にいる設定。いかにも、これからの地球を彷彿させる内容です。
また、心憎いのは「百年シリーズ」とうまくリンクさせていたりするので、ファンにはたまらないのです。
是非、森博嗣の「Wシリーズ」読んでみてください。読み始めると止まらないこと間違いなしです。