新井氏を存じ上げていなかったために、このタイトルを見たとき、今世の中で注目を浴びているAIと教科書が読めない勉強を苦手としている子供たちを戦わせて、どうするのだろう?と最初に感じた。結構、センセーショナルなタイトルです。
しかし、本を読み進めると、新井氏は、私の記憶の片隅にある「東ロボくん」というAI(技術を使った)ロボットを数学者として生み育てた開発者であることが分かった。彼女曰く、AIは、東大に合格することはできないが、センター試験であれば、MARCHの合格圏内(大学進学希望者の上位20%)の実力を身につけたとしています。得意分野は、数学と歴史。
しかし、彼女は、言い切ります。「脳がどのような方法で、私たちを認識しているかを「0,1」の世界に還元しているのか。それを解明して数式に翻訳することができない限り「真の意味でのAI」が登場したりシンギュラリティが到来することはない」と。
一方、偏差値別に、大学生なら当然理解しているであろう数学の問題を解いてもらうと、明らかに偏差値上位と下位で差が出ることが確認され、そこから論理的な読解と推論の力がないのではないか、と確信したそうです。
そこで、中高生相手に、真剣に研究を行います。そこで分かったことは、中学の基礎的な読解力と旧帝大合格実績のある高校の進学が、高い相関係数があること。
新井氏は、この基礎的な読解力は、何から得られるのか、様々な調査をします。結果は、我々が簡単に思いつく因子とは相関は得られなかったようです。
が、1つ明らかに分かったことがあるそうです。
それは、読んでのお楽しみです。
その力を手に入れることで、AIができない「人間にしかできないタイプの知的労働に従事する能力を備えることができる」としています。
新井氏は、現在の日本の教育に警笛をならし、研究から導き出した能力を身に付けた子供たちを増やすために2017年に起業しています。
ネタばれに近い感想を書いてしまいましたが、希望に満ち溢れた本です。是非読んでください。特に、小さなお子様をお持ちのお父さん、お母さん。