自分にとっては、小説でもなく、啓蒙、イノベーション的なビジネス書でもない社会的な本で手に取ることは珍しい。
この本は、ある意味耳の痛い世界で起きている事実の話である。先進国の人、大企業の人が恩恵を得ている裏側にある貧しい国の人たちの苦しみのリポである。ここ15年くらい「倫理的意識」という言葉が広まってきた。つまり、トレーシングというかその物の原料がどこからきて、どういう経路で調達され、どう作られたかを気にするようになった。また、その認証団体のロゴも認知され、そのロゴの商品を買うと世の中にいいことをしたつもりになれる。
認証団体が絡んでいても、我々が普段楽しんでいる、コーヒー、カカオ、パソコン、携帯電話などは、多くの犠牲の上に成り立っていることを実例を紹介している。
その他、フォックスコムの月給1万5000円の話、ラオスのアヘンの話、コンゴのスズ鉱石、アフガニスタンのヘロイン(世界の90%)、タンザニアのコーヒー(1キロ3.14ドル)、コートジボワールの綿。
大企業も実態を把握せず、手っ取り早い手段で慈善募金で社会貢献をうたったりしているが、その募金の行く先は、現場の人を助けるためではない。(結果的には何も変わらない)また、こういったアンフェアなトレードに異を唱えて叫ぶ人たちも、実際の生活の中では、アンフェアの恩恵を受けている。最終的には、私たち全員が責任を担うことになるという話です。
読んでいくと考えさせられる内容である。こういう本は刺激になります。すぐどうこうできるものではないが、知っているのと知らないのでは全く違うと思います。常識として読むことをお勧めします。