もう終わっている会社(古我知史著)


イノベーションで市場を創るには、辺境で、コア計画に入れず、顧客を中心に考えない自己チューが好ましい

本のタイトルとは真逆に、マッキンゼーで「課題創造」を得意としていた古我氏は、会社が終わらないようにするための「会社改革」の話を書いています。

ここ25年、会社改革で言われていたのは、1)選択と集中の戦略 2)中期経営計画の信奉 3)顧客至上主義 これは偽物だとし、本物の改革をするためには上記の3つを止めることだと指南する。

日本の会社は、アメリカの効率化事例を間違った方向で推進し、本来生命体のように網の目で繋がる有機的構造体である会社と会社社会の関係がからっぽな頭と魂だけになり老化が進んでいる状態になった。これは、事業の真の価値と善の源泉を忘れていることに起因するとしています。

長い歴史の中で「経営論」は、たかが50年そこらしか経っていなく、まだまだ検証されていない仮説がほとんどである。真面目なビジネスパーソンほどアングロサクソン的な仮説を取り込んていく。

成功物語に間違いなくあるのは、「誰にも真似できないような、しかしいつの世でも必ず誰かがなす、がむしゃらな行動があった」ことだ。緊張感を持って、現場に赴き、よくよく考えるて、会社コミュニティと会社人生を大いに楽しむことが大切。

将来コア事業となりうるものに集中する(賭け)こうすることで、世の中全体での産業の転換と遷移を促進してきた。これが成功しているのがアメリカ産業の強みである。アメリカは、過去をリストラし、日本は、未来をリストラした。

日本や私たちは、未来のために何に気づき、何をすべきかが書かれている。

  • 自らの覚悟と責任で、がむしゃらに試行錯誤しながら実行する
  • コア事業ではない、辺境や周辺に宝(イノベーション)は眠る。眠っている宝を運び出せるのは、その辺境や周辺に居つく人材
  • 折角のイノベーションも、大きな会社組織が誰も文句を言わない事業アイディアにし潰してしまう。中央に組み込まず、持ってこず、管理せずが重要。
  • がんばる個人を増やすことに努める。
  • 創造的破壊であるイノベーションは改善の延長にはない。経営者がコア事業を超えた経営視野を勇気と戦略的意図をもって定める必要がある。
  • 中期計画は、現状肯定の楽観的予測の砂上の楼閣にしかならない。コーポレート企画などの参謀もどき人材の量産化が会社存亡の危機になる。
  • 悪しき官僚主義の兆候は、予算、手続き、縄張り。これに縛られると迅速な意思決定を阻害する。
  • 本当に恐怖するべきは、不確実性のリスク。このリスクに蓋をしてしまうと、そのリスクの反対側で待っているばずのリターンや果実を摘むことはできなくなる。
  • 真の経営計画は、未来プル型で断層的未来からやってくる戦略策定、長期目標の立案こそが、これからの経営中枢のスタッフ部門の仕事であり、経営トップの全身全霊で取り組むべき使命となる。
  • 顧客は、浮気者である。顧客至上主義は危ない。古くからの顧客を捨て、新しい顧客にアプローチする。
  • 顧客の言うことを聞いて、完全無欠な商品つくりを目指す大馬鹿な会社になるな。顧客を知らず、顧客も知らないアイディアを提供した会社や人が市場を創造する。

面白いことがいっぱい書いてあるので、すみません、ほぼ抜粋してしまいました。もちろん、本書には実例含め、面白い論調で記載してるので、くすっと笑いながら読むとスーッと理解できます。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です