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まだ、マーケティングですか?(ボブ田中著)

眼鏡のイノベーションを起こす小説で、随所にイノベーション定義やアプローチが記載されて非常に読みやすい本

この本は、市場調査の大きなデータを分析していくイノベーションではなく、個々の「人」をじっくり観察しそこから学びえることで発想を広げるイノベーションのアプローチ「デザイン思考」を、小説仕立てにして、わかりやすく書いている。

眼鏡業界をベースに小説は進むのだが、所々に、イノベーションに関する情報が書かれている。

イノベーションとは、「技術革新のことだけを指すのではなく、ハードを中心とした技術革新に加え、ソフトによる人間を中心とした今までにない価値を創造することも含まれ、今や時代はそちらに移りつつある」としている。『持続的イノベーション』は、現状の製品やサービスを、より良いものに逐次改善していくもの。『破壊的イノベーション』は、現状とは全く異なる価値観で、新しい製品やサービスを提供するもの。今、日本が不得意としていて、求められているのは、この『破壊的イノベーション』で、重要なのは、この「非連続性」と「カテゴリー創造」です。

良いものを創るためには、使う人の本当の気持ちをしっかりつかむことが重要で、本来デザインとは、「問題解決のために何かを作り上げる行為であり、それによって、人に幸せという体験(コトの視点)を提供するもの」と筆者は定義している。

アンケートの集計では表面的なもの、想定内の結果になり、そこから生まれるものは、せいぜい小ヒットまで。まず、「個」をじっくり見ていくObservation、次に、既成概念を捨てて極めてイノベーショナルなアイディアを生み出すIdeation、そのアイディアを誰もが誤解無く理解できる見える化するVisualization、これらのステップが道筋としている。

こういう流れに従って眼鏡のイノベーションのストーリーが語られている。非常に読みやすいし、イノベーションのステップや姿勢はきちんと押さえているので是非手に取ってみると良いと思う。

Ohtani Hisao

1967年生まれ。高校卒業まで大阪→名古屋→福岡→島根で生活。今は、神奈川県逗子市に在中。都内の会社に勤め、同居は、妻と子供2人(2020年時点 大学生)。無理をしない程度に、読書、映画、美術鑑賞、スポーツを楽しんでいます。特に2019年春からSUP(Standup Paddle Surfin)に奮闘中です。ブログで奮闘ぶり更新中です。