村上海賊の娘(和田竜著)


南蛮の美貌を持つ村上海賊の姫が、信念を持ち無謀にも織田軍に立ち向かう。

この本に出会ったのは、2,3年前、会社近くの本屋に、ぶらっと立ち寄った際に、目に留まったことである。作者和田氏のことは存じ上げていなかったが、手に取って裏面に書いてあるあらすじを読むと、歴史小説だし、戦国時代だしということで購入を決めた。

読んだ感想は、やはり面白かった。歴史小説は大好きなので、色々読んでいるが、そこに出てくる戦国武将や表に出ないが大きな活躍をしていた人物などがこの作品に出てくる。

一向宗本願寺「大坂」の地を織田信長軍が包囲し兵糧攻め。門主顕如に傭兵である鉄砲の名人雑賀党鈴木孫市は、毛利家へ十万石の海送の助けを求める提案を突き付ける。というところから物語は始まる。

後に豊臣秀吉、徳川家康が頭脳として頼りにしていた小早川当主隆景が本願寺の願いを毛利輝元に伝え、「村上海賊」を提案する。能島村上には、男勝りで海賊ごっこに魅せられた景(きょう)姫がいる。景隆から一字をもらっている。彼女が物語の主人公である。南蛮風の美女の景姫と、一向宗のために大阪に向かう源爺と留吉(子供)の出会いが伏線になっている。景は腕もたつので、織田家の太田を打ち取ってしまう。そこで織田家から一旦敵とみなされるが、信長が「能島村上の姫を見逃すべし」と判断。織田軍に申し開きに行った景は、南蛮女性の美しさを知っている男衆にちやほやされる。(景にとっては初めてである)

やがて、織田軍と一向宗に雇われた孫市と鉄砲での衝突が起きる。また、更に天王寺砦では、一向宗の百姓たちと、織田軍に組している眞鍋海賊の首領の七五三兵衛が戦う。景は、一向宗として戦う留吉を助け出そうと試みる。七五三兵衛は、戦場にいる景に良いところ見せようと頑張るが、いったん退却する。その後、孫市は信長を鉄砲の射程にとらえる。引き金を引いた刹那、信長軍の傍に戻ってきた七五三兵衛が信長が馬上から突き落とし、玉をそらせる。が、信長に叱られる。この戦が収まったころ、景が関所を通るために孫市が助ける。そこへ七五三兵衛と出くわす。孫市は葦の陰に身を潜め狙いを定める。景は、七五三兵衛に源爺を殺したことを責めるが七五三兵衛は「敵だからだ」と放ち、静かにその場を離れる。七五三兵衛は、孫市が傍にいることに気づいていた。

話はこの後、景率いる村上海賊が毛利に頼まれた十万石を一向宗に届けようとするが、海上での戦、一転二転、話の流れに目が離せない展開が始まる。

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