孫子の兵法 勝つために何をすべきか(渡部昇一/谷沢永一著)
孫子の兵法は、人の命を守りつつ、無駄なく戦いに勝つ術が詰まっている
「勝つために何をすべきか」、帯には「情報、戦略、リーダーシップのすべてがここにある!」と書かれている。
孫子は、WiKiによると、紀元前500年ごろ中国の春秋戦国時代の武将で、名前を孫武という。兵法書の中で、もっとも有名なものの1つとされている。従来の戦争の勝敗は天運に左右されるという考え方が強かったことに対して、孫武は「戦争の記録を分析・研究し、勝敗は運ではなく人為によることを知り、勝利を得るための指針を理論化して、本書で後世に残そうとした。」とされている。
今回の本書も、孫子の兵法書から、ビジネスに役立つ内容を実例を挙げて解説(対談形式)している。実例は、「戦争」を例にとると、「戦国時代」「明治維新」「日露戦争」「第二次世界大戦」が分かりやすい例かもしれないが、今の時代では、もっと経済戦争などを例にとるともっと個人的にはうれしかった。お二人が文学者なので、やむを得ないのかもしれない。
以下に、トピックを列挙します。もちろん、様々なビジネス書でも扱われている参考になる内容ばかりです。
- 計篇:兵は国の大事なり~戦いは軽々しく始めるべきではない。
- 計篇:兵は詭道なり~正直だけでは生き抜けない
- 計篇:廟算~冷静な算盤で考える。
- 作戦篇:日に千金を費やして、十万の師挙がる~目的のためには金を惜しまない。
- 作戦篇:兵は拙速を聞く~すべての勝負はスピードが肝心
- 謀攻篇:戦わずして人の兵を屈す~むやみな戦いをせず勝つ法則
- 謀攻篇:攻城の法~城攻めをしてはならない
- 謀攻篇:勝を知るの道~敵を知り、己を知れば負けることはない
- 形篇:不敗の地に立ちて、敵の敗を失わざる~優れた人物は目立たないところにいる
- 形篇:積水を千じんの谿に決するがごとき~勢いに乗ることが勝利の鉄則
- 勢篇:激水の疾くして石を漂わす~節目は瞬時に行なう
- 勢篇:善く敵を動かす者は~敵を誘き出して撃つ
- 虚実篇:兵を形するの極は、無形に至る~目に見えない、無形の力を持つ強さ
- 虚実篇:兵の形は水に象る~変化に対応できる柔軟性とは
- 軍争篇:輜重無ければ即ち亡び~戦うための基本は物資の調達である
- 軍争篇:其の疾きこと風のごとく~人目につかないところで迅速に動く
- 九変篇:命を君に受け、軍を合わせ衆をあつむれば~無理、無駄な争いはしない
- 九変篇:吾が以て待つ有るを恃むなり~他人をあてにするのは愚かなり
- 行軍篇:半ば済らしめて之を撃たば~生きるか死ぬかのときの判断
- 行軍篇:鳥起つは、伏なり~素人の意見を無視しない
- 地形篇:卒を視ること嬰児のごとし~部下をいたわりながらも、命令できるか
- 地形篇:彼を知り己を知れば~敵を知らなければ、己の立場も分からない
- 九地篇:利に合いて動き~敵を内部から混乱、分裂させる法
- 九地篇:兵の情は速やかなるを主とす~相手がもっとも大切にしているものは何か
- 九地篇:祥を禁じ疑を去れば~迷信は禁じなければならない
- 九地篇:呉人と越人とは相悪むも~危機に直面すれば団結する
- 九地篇:能く士卒の耳目を愚にして~将たる者は、秘密主義でゆく
- 九地篇:諸侯の謀を知らざれば~相手の考えをどう推察するか
- 九地篇:無法の賞を施し~報酬はたっぷり与えよ
- 九地篇:始めは処女のごとくして~始めは処女のごとく、後は脱兎のごとく
- 火攻篇:火攻に五有り~もっとも効果的な攻撃法とは
- 火攻篇:火を以て攻を佐くる者は明なり~勝負にこだわり本来の目的を見失うな
- 火攻篇:主は怒りを以て師を興すべからず~一時の感情で行動を起こすな
- 用間篇:人に取りて、敵の情を知る~情報収集に費用を惜しんではならない
- 用間篇:間を用うるに五有り~情報のキーマンを育成せよ
- 用間篇:反間は厚くせざるべかざるなり~プライベートは情報網を持てるか