森博嗣氏のミステリー「Wシリーズ」の最終巻「人間のように泣いたのか?」を読んで、10か月が過ぎ、森ワールドの禁断症状になっていたところに、例の職場のN嬢がたまたま傍を通ったので、「最近、森博嗣の作品で、先回(Wシリーズ)みたいな本出ていないかな?」と冗談半分、期待半分で尋ねた所、「この前、恐らくWシリーズの続きと思われるのが講談社タイガから出たよ。まだ読んでないけど買ったけど」と言われた。その夜、早速会社近くの本屋に行くと、「WWシリーズ」「それでもデミアンは一人なのか?」が「Wシリーズ」の隣に1冊立てかけてあった。
早速、帰宅の電車で読み始めた。そうそうこのテンポ、この作風、禁断症状は少しずつおさまり、喜びに変わってきました。まさに「Wシリーズ」の続きです。
現代から数百年後のSFミステリーで、AIテクノロジー、ロボティックステクノロジーを組み込んだ作品。人類は、純粋な細胞を故障した部位に組み込み死なない世界、でも、生殖能力がなくなり、よって結婚する必要もなくなる。減衰していく人類の代わりに、ロボット、ついで、人間と見分けのつかない「ウォーカロン」が人間を補うように、人類と共存する世界。インターネットも今よりもっと発展していて複数の人工知能「トランスファー」がネットワーク上に存在する。このような世界でミステリー。全く怖くなく数百年後の世界を垣間見てしまう不思議な感じです。
本著の中の一部を引用する。「トランスファーというものの存在が、初めて理解できたと直感した。すなわち、人間の脳内をネット上に展開したものなのだ。ロボットに人間の脳を載せる代わりに、このネット空間全体を頭脳にしてしまう。そうなれば、ネットとインタラクティブな関係になるあらゆるメカニズムが、ロボットの装備となる。否、ロボット本体が存在しなくても良い。その究極の形態こそが、トランスファーという新しい人工知能だったのだ。コンピュータから進化したのではなく、人間の脳から派生したものといって良い。」
次ぎの完まで、3,4か月だ。
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