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シンク・クリアリー/Think Clearly(ロルフ・ドベリ著)

ほどんど抵抗感を感じず、すーっと入ってくる良書。若い人には違和感あるかもしれないが、困った時には楽になる。

2017年にドイツでベストセラーになり、今年(2019年)4月に日本で発行され、注目されている本である。電車広告などこの表紙を目にすることが多くなった。

内容は、非常にフラットで、偏りがなく、人生を豊かに過ごすために自分に対して、世の中(自分の外)に対して、どういう考えでいればよいか、という視点で52か条でまとめ上げられている。

世の中は、一人の力では変えられない。かつての偉人でさえも、多少早かれ遅かれの範囲である。彼、彼女が居なくても世の中の流れとして、いずれ誰かが発見、発明していたものばかり。だから、自分を過大に評価せず、自分の心が豊かになることに集中した方が良い。ざっーとまとめるとそういう感じである。52か条のいくつかを挙げてみる。(ちょっと挙げ過ぎてしまった。。。)

  • 考えるより、行動しよう。考えるの楽で、行動が難しい。行動しないと何も変わらない。
  • なんでも柔軟に修正しよう。計画通りに運ぶことはない。重要なのは、スタート前の条件設定ではなくて、状況に応じて柔軟に早めに修正を繰り返していくことでうまくいく。
  • 簡単に頼みごとに応じるのはやめよう。「好かれたい病」は、「お返しを期待する」という遺伝子によるもので、自分の時間を大切にし、判断も5秒でおこなう。
  • 好ましくない現実こそ受け入れよう。失敗の原因を受け入れ、突き止めるたびに人生は上向く。自分にありのままの真実を示す「人生のパートナー」や「友人」を持つことが大切。
  • 幸せを台無しにするような要因を取り除こう。運は避けようがない、コントロールできる、例えば「投資」、「勝負」、「コミュニケーション」も「アップサイド」を狙うより「ダウンサイド」ならないように努める。
  • 謙虚さを心がけよう。先祖代々から自分が生まれてくる確率から考えると、先進国に居る時点で、すでに途方もない幸運に恵まれている。更に成功している場合は謙虚の姿勢、恵まれない人には惜しみなく成功の一部を与えるべき。
  • 本音を出し過ぎないようにしよう。周囲に不快感を与えない「気遣い」が大切。意識的に「二番目の人格」を作るべき。
  • 買い物は控えめにしよう。物を購入するとその瞬間は高揚しいずれ消え去る。「経験」の喜びは、頭の中、心の中にとどまり続ける。
  • 貯蓄しよう。お金との良い付き合いは、ある程度の貯蓄、ちょっとした変動に反応しない、裕福な人と比較しない、大金持ちになっても質素にすること。
  • 天職を追い求めるのはやめよう。天職という言葉には非現実的な期待が含まれている。「得意」「好き」「評価される」ことを仕事にすることが生産的。
  • SNSの評価から離れよう。自分の内側にある自分自身の基準が大切か、周りの人の基準が大切か。周りの評価は、思っているよりどうでもいいこと。
  • 目標を立てよう。幸福度は、「目標を達成できたかどうか」で決まる。実現可能な曖昧な目標が良い。
  • 楽しさとやりがいの両方を目指そう。「楽しむ」と「有意義」は大きく異なる。この配分をバランスよくする心がけが大切。
  • 嫉妬を上手にコントロールしよう。嫉妬を感じるのは、「自分と同じレベルの相手」。他人と比較する行為が、幸せを遠ざける。
  • 世界で起きている出来事に責任を感じるのはやめよう。個人でできることには限界があることを理解し、「時間」を掛けて考えるより「お金」の寄付で解決。「無責任」でいることも悪いことではない。
  • 相手の立場になってみよう。想像ではなく、実際に相手の立場に身を置いて初めて相手の立場が分かる。できるだけ質のいい小説を読むことも大切。
  • 世界の不公正さを受け入れよう。世界に公正さを保つためのシステムは無い。自分自身の日常生活に意識を集中しよう。
  • 専門分野を持とう。石器時代は「多才」でないと生きられなかった。今は、「専門性」が職業上の成功、社会の豊かさえお実現するにも必要。
  • 組織に属さない人たちと交流を持とう。組織に属さない人たちは、その内部に居る人たちより、迅速に行動できるため、早く結果を出せることが多い。「内部」「外部」のバランスが大切。
  • 自分を重要視しすぎないようにしよう。自分を重要視する度合いが低ければ低いほど、人生の質は向上する。「余計な労力」「自己奉仕バイアス」を避けるべきである。謙虚がいい。
  • 自分の人生に集中しよう。「歴史を作った人物などいない」。自分がどんなに優秀でも世界全体の構造からみれば、さして重要でも不可欠でもない、取り換え可能な存在。重要な役割を担ってるのは、自分自身の人生に対してのみだ。

「秘書問題」とは、100人のうち1人を採用する場合、はじめの37人は会うだけで採用をしない。その中で優秀な人のレベルを把握し、38人目から、そのレベルを上回った最初の人を採用する。後の人は会わない。(100人の中で最高ではないが優秀な人を選べる、統計的にこの方法を上回る結果は出ない。応募数÷eを不採用にする。e=2.718)

ゲーム理論「囚人のジレンマ」で勝利をおさめるのは、「しっぺ返し」戦略。自分が協調し相手も協調したら、次も自分は協調する。相手が協調せず裏切ろうとしたら、次も自分は裏切る。その後協調して来たら、次は強調する。

「フライトレコーダー」を搭載したきっかけは、世界初の量産型ジェット旅客機イギリスのデ・ハビランド社のコメットMk1(1953年~)機体の空中分解が多発、その原因究明のため。事故自体の原因は、窓の枠が正方形だったこと、今の飛行機は丸窓になっている。

世帯年収が10万ユーロ(約1200万円)を超えると、追加収入が幸福度に与える影響はゼロになる。

「ピークエンドの法則」は、人生絶頂で死を迎えたほうが良い印象を残こしている。

「スタージョンの法則」は、あらゆるものの「90パーセントはがらくた」。物、広告、ツイート、会議の90%は無意味と思うと人生は向上する。


Ohtani Hisao

1967年生まれ。高校卒業まで大阪→名古屋→福岡→島根で生活。今は、神奈川県逗子市に在中。都内の会社に勤め、同居は、妻と子供2人(2020年時点 大学生)。無理をしない程度に、読書、映画、美術鑑賞、スポーツを楽しんでいます。特に2019年春からSUP(Standup Paddle Surfin)に奮闘中です。ブログで奮闘ぶり更新中です。