魔法の世紀(落合陽一著)


メディアアーティストとは、先人たちのコンテキストを踏み越えて、新しいメディア装置を生み出し、その行為自体を表現してく存在。

落合陽一氏とは、打ち合わせ1回(5人)、講演1回お世話になっている。本当に気さくで壁を作らない方で、考えている事が、実体験に結び付けられ噛み砕いた説明もされるので、若いのに本当に感心させられる。まさに、頭の出来が違うのだなと思う。こう思う(一線引くと)と、非常に安心する自分がいます(笑)。いつか、彼の知識を使って日本初の何かを生み出せれば楽しいだろうと思うが、接点がありそうで、なさそうで。。。。

「魔法の世紀」という本は、もっとさくっと読めるのかと思ったが、あまり効率よく読めなかったために、最初のページを見始めて、1か月くらいかかったかもしれない。講演でも触れていた内容なのだが、さらっと書いている割に、考えること(すっと理解できないこと)が随所にあるのも理由の一つ。

約4年以上前に発行された本ですが、発行時期と今の世の中の事態はそう変わっていない気がします。彼は、メディアアーティストという日本では聞きなれない肩書を持っています。単なるエンジニアではなく、自己表現を著すために技術を組み立てて世間を驚かせることをされています。落合氏の言葉で言うと「先人たちのコンテキストを踏み越えて、新しいメディア装置を生み出し、その行為自体を表現してく存在」になります。

紀元前には、壁画、くさび文字など、そこに行かないとみられないものが、持ち運べる絵画、パピルス・羊皮へと変わり、20世紀は、一人の人間が画像だけでなく映像も見られる世の中になり、それが大衆で楽しむことができ、更に、インターネットがあれば、いつでもどこでも楽しむことができる世界へと変わってきたというアート、メディアの歴史を順を追って話がされます。これから先、VR(Virtual Reality)が更に進化すると、触感まで体感できるようになると、何が本物で、何が偽物なのか分からない世界が来る可能性を示唆します。まさに「現実とは何か」というテーマです。

あまり知られていない人物ですが、MIT博士号でユタ大学のアイバン・サザランドは、VRの基礎を築いていく中で、Netscape創始者 ジェームズ・クラーク、アラン・ケイ、Adobe創業者ジョン・ワーノック、Pixar創業者エド・キャットムルが代表格になります。

現代のメディア進化を加速させているのがコンピューターの存在。そのコンピューターの未来を著したのが、上記4人の弟子の中の一人、アラン・ケイ。彼が1972年著したDynabook構想は当時あまりにも突飛なものでしたが、50年近く経った今では、当たり前になっています。

  • 安価で低電力動作する持ち運び可能なコンピュータ
  • マルチメディア(音声・画)が扱える
  • ディスプレイと直感的なユーザーインターフェイスを持ち、子供が紙とペンの代わりに使える
  • コンピュータのOS自体が簡単なプログラミングで動いていて、エンドユーザーが簡単にプログラミングできる

先のPixarをはじめ、ハリウッドは、CGに莫大の投資を行ってきて、そこを上手に監督としてジェームズ・キャメロンは、歴代2位「アバター」、3位「タイタニック」で莫大な興行収益を上げます。ディズニーは、公開中の「スター・ウォーズ」、「アナと雪の女王」をはじめ、歴代1位「アベンチャーズ」を成功作品にし、更に20世紀フォックスを買収し、「アバター」、「タイタニック」も手に入れています。今の映画、CGなくしては壮大な作品はできないレベルに来ています。

また、落合氏は、現代のプラットフォーム化の例として、あらゆる娯楽文化を取り込んだショッピングモール、つまり「超時空要塞マクロス」のような世界に集約化されていると言います。これも小さいコストで多くのニーズを提供することを考え行きついたところで、それをGoogleなどはインターネットの世界で、もっと効率よく提供している怖さ(すごさ)がある。更に、場づくりによる表現(機能1点突破型)での差異化で、LINE、Twitterのようなサービスが拡大した。

その他、人工知能、エンジニアのルーツ、エクスペリエンスデザイン、デジタルネイチャーなどを語っています。落合氏は、分かりやすく順序立てて書いていますが、冒頭にも書きましたが、ちょっと難しいかもしれませんが、今後の技術、世の中を考えるにあたり面白い本だと思います。

落合氏は、言います。「楽しむ心」がモチベーションの原動力。彼が持っているいるフェティシズムは、3つ無くしたいものあるそうです。1)「ゲート」2)重力 3)繋ぎ目。普段何気なくしょうがないなと思っていることを徹底的に無くし、ストレスのない世界にすることですよね。

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