WHO YOU ARE (ベン・ホロウィッツ / Ben Horowitz)


「WHO YOU ARE」は、なかなか表現することが難しい「企業文化」を非常に分かりやすく説明している良本です。

私のブログでも紹介させてもらっている「新規ビジネス」のテーマを生み出した際にお世話になった浅枝大志さんが、この「WHO YOU ARE」の翻訳を手掛けたと、彼のfacebookの投稿で知った。

新規ビジネス視点でお世話になって以降、新規ビジネスのメンバー飲み会にもお呼びし、色々なこと話をしたのですが、彼が、同時通訳、翻訳もされているとは全く存じ上げず、いやいや驚きました。すごいですね。

また、その「新規ビジネス」の判断者の一人でもあった会社の方もこの本を読んでいることを知り、ちょうど次読む本を探していたということもあり、内容を吟味せずに、「きっと面白いだろう」と信じ、アマゾンで購入しました。

結果から言うと、「すごく面白く、為になりますし、非常に読みやすいです」。

本のテーマは、「企業文化」です。

過去、色々なこの手の本を読んできましたが、「企業文化」をテーマにした本はなかったです。通常、リーダー論、経営論、新規ビジネス立ち上げの話(スタートアップ話)に集約されてくるのですが、それとは視点が異なりました。

「非常に読みやすい」という感想を書きましたが、浅枝さんと、もうひと方の関美和さん(「FACTFULNESS」など多くの翻訳を手掛けている2020年5月22日のNHK「あさイチ」に出演。)の翻訳の完成度が高いというのもありますが、海外の方の本で見かける、自分の理論を無理やり押し付けてくる、そして、本を読んでいる途中から飽きてきて、疲れてしまうということが全くないのです。

今回、翻訳にあたって彼は、自動翻訳機を使った新しい試みをされたと聞きました。色々な苦労があったことと思います。浅枝さんに、「翻訳どうでした?」と聞くと「大変でした」という回答でした(笑)。彼に関するブログで詳細を語っているとは思いますが、その一言がすべてを表していると思います。

関美和さんもNHKの「あさイチ」で、「著者考えいてることと読者が読んだ時に思うことをビジュアルとして一致させる」「読みやすい文章」を心がけていると言われていました。読んだときに、(英語原文を読んではいないのですが)まさに読みやすさは間違いないです。「FACTFULNESS」も関さんの翻訳とは意識していなかったのですが、非常に読みやすい本でした。テーマも良かった。

さて、著者のベン・ホロウィッツ氏は、かつて自ら新規ビジネスを立ち上げ、現在、アメリカ合衆国のシリコンバレーでベンチャーキャピタルとして新規ビジネスの投資をされている方で、業界では非常に有名な方(らしい)です。2009年に設立し、誰でも知っている新規ビジネス会社を資金提供、経営の指導を通して育てている方です。例えば、facebook、twitter、Instagram、Skype、Slack、Box、Lift、AirBnBなどです。多くの方が知っている会社ですよね。

この本のテーマ「企業文化」も、訳者あとがきによれば、彼の投資スタイルによるところが大きく、通常、黎明期から成長期になると経営者を変えていくところ、彼は、育てていくことをしているようです。そういう彼だから、この本の内容が絶対ではないと明記しつつ、読者を飽きさせない内容が書かれている。

読んでいる時、付箋を付けた箇所を列挙してみます。

  • 失敗に罰を与えるような企業は、成功すれは1000倍の見返りがあるアイディアに投資はしない(できない)。
  • みんながいいと思うアイディアは真に革新的ではありえない。(階層組織では生まれてこない)
  • 社員の心から離れないことがひとつあるとしたら、それはその会社特有の気質と気風だろう。
  • 人の真の姿は、どんな行動をしているかに表れる。
  • 奴隷として生まれ、後にハイチ国の独立主導者になったトゥーサン・ルーベチュールは、「結婚、正直さ、忠誠心」を社会のシンボルとして自分の文化に組み込んだ。
  • 優れた文化をつくるということは、状況に合わせて自分たちを変えることだ。
  • リーダーの本当の価値を反映するものでなければ文化は定着しない。
  • 誠実さ、正直さ、善良さは、文化への長期的な投資になる。
  • 文化はみえるものよりもむしろ見えないものによって形づくられる。意志あるところに文化はある。(byオービッツ)
  • 売り込みに必要な要素 by マーク・クラニー 1)能力がある(コンピタンス) 2)自信を持つ(コンフィデンス) 3)勇気を持つ(カレッジ) 4)信念を持つ(コンビクション)
  • 外からリーダーシップを取り入れると、もともといた人たちはとても居心地が悪くなる。それがまさに、文化の改革なのだ。
  • 文化を正しい方向に向けることが、そのほかの何より優先されるべき。 byリード・ヘイスティング
  • 組織文化と矛盾する行動をやむをえずとってしまった場合、できるかぎりおおやけに自分のミスを認めて修正し、ありったけの熱を込めて以前の判断を上書きし、それを新しい教訓にしなければならない。
  • リーダーである限りは、たまたま取った行動が文化になる。言行を一致させることは、最も難しいスキル。
  • 文化とは、一度の判断ではない。長年のさまざまな行動が積み重なるうちに自然にできあがる決まりごとなのだ。
  • あなたの目的が死を意識することであっても、お互いのために働くことであっても、仕事そのものに意義があるということが、企業文化をまとめる接着剤になる。
  • (武士道の洗練された文化について)それを一言で言えば、「常に死を意識していた」ということだ。
  • (殺人を犯し刑務所でリーダーの才覚を得たベストセラー作家シャカ・サンゴールは、)文化を変え、自分を変えた。
  • 企業文化は、戦略投資だ。あなたが見ていないところで会社が正しいことをするための投資なのだ。
  • 口先であなたの望みを伝えるだけでは文化は変わらない。差し迫った必要があることを部下に実感させなければならない。
  • 1)残念会に行くな。 2)来た話は断るな。 by マクドナルドCEOドン・トンプソン
  • 社員が努力して何かを変えようとしたり、新しいアイディアを提案するたびに、官僚体質や優柔不断さや無関心に阻まれていれば、文化は傷つく。会社を前進させた社員が認められ報われるたびに、文化は強くなる
  • 異端児のパターン 1)無力感 2)もともと反逆者タイプ 3)未熟で衝動的。 これらを対処方法は、1)彼らの行いが生み出す逆効果を注意する。 2)彼らを変えることは不可能だと覚悟する。 3)彼らが得意なことに集中コーチング。
  • リーダーの意思決定法も文化の核。1)敵か味方か? 2)全員参加 3)みんなの意見を聞いて私が決める。 ビジネスでは3)がうまくいく。
  • 最終決定されたことを必ず尊重し、その決定理由についてはっきりと説得力のある説明が出来なければならない。部下に対して決定を伝えるときも一貫する必要がある。(後で、決定事項が自分の意思とは違ったということを部下、周囲に言うことは、自分の信用を失うことになる)
  • 「信頼」は、正直さ、真実を話すことから得られる。社員があなたを信頼しなければ会社は崩壊する。
  • 悪い知らせに心を開かなければ、隠れた問題を早期に発見することはできない。(悪い知らせが報告しやすい環境、文化が大切
  • 企業にとって利益は空気、つまり生きるために必要なものであっても、それ自体が目的ではない。企業にはミッションがあり、そのミッションを達成するには社員がそれを信じなければならない。そのミッションを社員、経営陣、取締役、ユーザーといったステークホルダーに共有できてはじめて、企業の目的が達成できる。by ベン・ホロウィッツ

非常に良い本なので、つい多くを抜粋してしまいましたが、まだまだ、良い話、言葉が記載されています。是非、自分の目で読んで、頭で考え、行動に移してみてください。私も、普段の業務のリーダー業務や、「新規ビジネス」推進に役立てていこうと思います。

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