シンクライト/ Think Right(クリスティーン・ポラス)
人は、考え、判断する時にいくつかのワナに嵌る。そのワナを事前に知っておくことは非常に有利な人生を送れる。
人は誰でも、例え、立派な会社のCEO(最高責任者)であっても、物事を判断する時に「思考の落とし穴」に陥ることがある。
「合理的に考えたり、論理的で理性的な行動をとろうとしたりするときに、一定の法則にしたがって陥る推論の誤り」が起きてしまう。
この本は、そんな、誰でも起きてしまう「思考の落とし穴」をリスト化し、その1つ1つを具体的な例を挙げて解説していく本である。
以下が目次である。
- なぜ、言い方を変えただけで、結果が大きく異なるのか?【フレーミングのワナ】
- なぜ、「特殊なケース」には気をつけるべきなのか?【確証のワナ1】
- なぜ、「あいまいな予測」に惑わされてしまうのか?【確証のワナ2】
- なぜ、エラい人には遠慮しないほうがいいのか?【権威のワナ】
- なぜ、少ししかないクッキーはおいしく感じるのか?【希少性の錯覚のワナ】
- なぜ、「選択肢」が多ければ多いほど、いいものを選べないのか?【選択のパラドックスのワナ】
- なぜ、自分に似ていれば似ているほど相手を好きになるのか?【「あなたが好き」のワナ】
- なぜ、お酒をおごってもらわないほうがいいのか?【お返しの法則のワナ】
- なぜ、「自分だけがうまくいく」と思ってしまうのか?【生き残りのワナ】
- なぜ、「もったいない」が命取りになるのか?【サンクコストのワナ】
- なぜ、モデルの友人は連れていかないほうがいいのか?【コントラストのワナ】
- なぜ、「違う街の地図」でもないよりはまし、考えてしまうのか?【イメージのワナ】
- なぜ、「その人」を信じてしまったのか?【「いったん悪化してからよくなる」のワナ】
- なぜ、水泳をすれば水泳選手のような体形になれると考えるのか?【スイマーズボディ幻想のワナ】
- なぜ、自分の知識や能力を過信してしまうのか?【自信過剰のワナ】
- なぜ、他人と同じように行動していれば正しいと思ってしまうのか?【社会的照明のワナ】
- なぜ、歴史的事件の意味は、あとからでっちあげられるのか?【ストーリーのワナ】
- なぜ、起こった出来事に対して「あれは必然だった」と思い込むのか?【回想のワナ】
- なぜ、「わからない」と正直に言えないのか?【お抱え運転手の知識のワナ】
- なぜ、弁護士費用は「日当」で計算してはいけないのか?【報酬という刺激のワナ】
- なぜ、「医者に行ったら元気になった」は間違いなのか?【平均への回帰のワナ】
- なぜ、みんなが利用する場所では問題が発生するのか?【共有地の悲劇のワナ】
- なぜ、「結果」だけで評価を下してしまうのか?【結果による錯覚のワナ】
- なぜ、「意見が一致したら要注意」なのか?【集団思考のワナ】
- なぜ、宝くじの当選金額はどんどん高くなるのか?【確率の無視のワナ】
- なぜ、直観だけで判断すると間違えるのか?【基準比率の無視のワナ】
- なぜ、「プラスマイナスゼロに調整する力」を信じてしまうのか?【ギャンブラーの錯覚のワナ】
- なぜ、商談のときにはなるべく高い価格から始めるべきなのか?【アンカリングのワナ】
- なぜ、ちょっと株価が上がっただけで大金をつぎこんでしまうのか?【帰納的推理のワナ】
- なぜ、「悪いこと」じゃ「いいこと」より目につきやすいのか?【マイナスの過大評価のワナ】
- なぜ、個人だと頑張るのに、チームになると怠けるのか?【社会的手抜きのワナ】
- なぜ、50回折りたたんだ紙の厚さを瞬時に予想できないのか?【倍々ゲームのワナ】
- なぜ、オークションで落札しても少しも儲からないのか?【勝者の呪いのワナ】
- なぜ、コンサートのあとでは指揮者やソリストの話しかしないのか?【人物本位のワナ】
- なぜ、コウノトリが増えていると赤ちゃんの増えると考えるのか?【誤った因果関係のワナ】
- なぜ、恋に落ちた相手は完璧に見えるのか?【ハロー効果のワナ】
- なぜ、成功の裏にあるリスクに気づかないのか?【別の選択肢のワナ】
- なぜ、予測が外れてばかりのエセ専門家が増殖するのか?【予想の幻想のワナ】
- なぜ、もっともらしい話に惑わされてしますのか?【条件結合のワナ】
- なぜ、ゴールキーパーはじっとしていないのか?【過剰高度のワナ】
- なぜ、ダメージが同じなら何もしない方がいいのか?【不作為のワナ】
- なぜ、「成功は自分のおかげ」「失敗は他人のせい」と考えるのか?【自己奉仕のワナ】
- なぜ、社内にはいつも自分と同姓が多いのか?【選択のワナ】
- なぜ、悪い知らせだけを伝えるべきなのか?【連想のワナ】
- なぜ、「はじめから順調」のときが危ないのか?【ビギナーラックのワナ】
- なぜ、自分への嘘でつじつまを合わせようとするのか?【思惑と結果のワナ】
- なぜ、「ありえないようなこと」でも、いつか起こるのか?【共時性の奇跡のワナ】
- なぜ、「今この瞬間を楽しむ」のは日曜だけにすべきなのか?【目先の利益のワナ】
- なぜ、「自分のもの」になったとたんに価値は上がるのか?【所有のワナ】
- なぜ、幸福は3か月しか続かないのか?【満足の踏み車のワナ】
- なぜ、自分の人生をすべて自分でコントロールしていえると信じるのか?【コントロール幻想のワナ】
- なぜ、危険を徹底的になくそうとするほど痛い目にあうのか?【ゼロリスクのワナ】
結構、自分に当ては嵌まる項目があるのではないかと思います。
その中でも、ちょっと私がおもしろいと思った本文の内容をご紹介します。
1の「フレーミング効果」は、「脂肪分99%カット」と「脂肪分1%」でどちらが効果的か?立派な額縁(フレーム)があると絵が立派に見える。
5の「希少性の錯覚」は、「希少なもの」に反応しているときは論理的に考えられなくなっている。その時は、それがどのくらい役立つのかを基準に判断したほうが良い。
7の「あなたが好き」は、一般的に「ミラーリング」と言われ、好意を寄せている人のしぐさを無意識のうちに真似てしまうという心理学だが、セールスでは、売る側がわざと真似ることで売りを上げる使い方をするテクニックとしてよく使われる。
10の「サンクコスト」とは、既に発生して取り返しがつかないお金、事柄のこと。株や投資で大きな損失をすればするほど手放せなくなる、やめられなくなる。重要なのは、これからのことを考え、過去の損失を無視することが合理的である。
15の「自信過剰のワナ」は、あらゆる予測に対して「疑いの目」を向けることを心がける。特に「専門家」は、仕事を得るために、都合よい話をしたり、見積もり金額を安く提示したりして後で追加請求したりすることが多い。
20の「報酬という刺激のワナ」は、投資勧誘などは、手数料が多く入るものを進めてくる。個人や組織の立派な行い、奇妙な行動に驚かされる場合は、「裏の動機」を考えることが必要。
30の「マイナスの過大評価」は、「悪いこと」は「良いこと」より影響力が大きい。例えば、仕事でチャレンジを求められても、成功すれば、通常のボーナスが得られるが、失敗すれば職を失うこともある。人はどうしても「悪いこと」を避けようとする。
36の「ハロー効果」は、容姿が美しい人を見ると、その人は親切で誠実で賢いと無意識のうちに想像してしまうことが実験で証明済。世界レベルのオーケストラの人選は、カーテン越しに行われているそうである。
具体的な例を挙げて説明をしているので、結構面白く読めました。所々、本質的には同じようなワナだなと思うところはあったが参考にはなります。