うかい鳥山 高尾山(Ukai Toriyama, Takao-san)
高尾山の麓の「うかい鳥山」、山間の川と木々草が織りなす庭園は、合掌造りの建物と合わせ昔の日本を彷彿させるほっとした空間。もちろん料理と「新政」は最高でした。
八王子に住む親せき、従弟の友人との会食があり、「うかい鳥山」に招かれた。
この「うかい鳥山」は、30年位前に一度、今回の親戚の叔父に連れてきてもらったことがあり2回目です。ですが、実は、当時の事は、大人になっていたのにも関わらずほぼ記憶がなく、庭園でホタルを見て、美味しい鶏串を食べたことくらいで、食べた場所も、庭園の風景も抜けていしまっています。叔父曰く、ホタルを数匹捕まえて、叔父の自宅に持ち帰った言われ、確かに記憶が蘇って来、「ホタル持って帰ってきたはダメですよね」と返事した。いやー、子供ならともかく、成人してそういうことをしてはダメですね。余程、生のホタルを見れたのが嬉しかったのでしょう。
叔父の自宅から、電車を乗り継ぎ、「高尾山口」駅に到着。この駅、オリンピック国立競技場、高輪ゲートウェイ駅など世界的な建築家の隈研吾さんのデザインだそうです。木をふんだんに使われているところ、まさに通じるものがあります。
ちなみに、私自身は、高尾山に登ったことはなく、徒歩で2時間くらい、ケーブルカーやリフトを使うと、最短で30分で登れるらしいです。ここまで来るのに、私の自宅から2時間半くらいかかるので、徒歩だと休憩を入れずに7~8時間コースです。
「高尾山口」からシャトルバスで10分程度で、「うかい鳥山」の正面入り口近くの駐車場に着きます。途中は、大型バス1台が通れる道で、車2台のすれ違いはちょっと厳しいかな。ギリギリかな。
下の写真が正面入り口です。新緑の時期もあり、淡い緑が目に映えます。驚くのは、紅葉です。この時期なのに赤い色で、この紅葉は、秋でなくても赤くなったり緑になったりするそうです。こういう紅葉は、庭園内に見受けられます。
「うかい鳥山」は、「うかいの心 料理も空間も、人の温もりを感じられる ”おもてなし”があってこそ真の価値が生まれるもの お客様をお迎えすることを喜びと感じ、表現する喜びを共に分かち合い、その日々を続けていく お越しいただいた皆様に心からの感謝を」とパンフレットに記載されています。「奥高尾の山里に合掌造りの趣なつかしき日本の情景」「至福の味わいに酔う、いろり炭火焼 四季折々、極上の味と彩り」「緑深き奥高尾の広大な敷地 山間の澄んだ空気に包まれた 隠れ座敷」「花鳥風月を愛でる ”山野草園”」を唱っています。「うかい鳥山」のホームページは、こちら。
振り返ると、離れがあります。個室が取れない場合や大人数の時に利用するところで、初めて来たときには、この離れを利用したとのことです。いずれにしても、建物は、合掌造りで、白川郷を思い出させます。日本の家屋の風情で非常に趣があります。建物のメンテナンスも大変だと思います。私が以前来てから30年なので、数回は屋根張り替えているのでしょう。
正面入り口の右手には、水車があり、動いています。水車を見ると長野の大王ワサビ農園を思い出します。
フロントがある建物(母屋)から左に出ると、橋があり、下には小川があり、木々の景観をあいまってきれいだし、心が和みます。マイナスイオンを感じます。
母屋の照明も趣があり、この光を見ているだけで、最近感じることのなくなったほっとした癒し、昔の光を思い出しタイムスリップした気持ちにさせてくれます。
仲居さんの案内で、母屋を離れ、個室に向かう途中の路。直線にすると近道がありますが、あえて遠回りし、木々や草の色やこういった空間の香りを浴びながら進みます。下を流れる小川のちょろちょろとした音も心和ませます。
先ほどの朱色橋を渡ると、個室の建物が左右に、十分な空間を空けて立ち並んでいます。全く手抜きのない演出です
個室(写真撮り忘れました)に入ると、和室に、6人掛けの椅子とテーブルがあり、すでに室内はポカポカしています。しかも、畳も床暖なのか非常に暖かいです。人里離れた山の中なので、この時期はまだ、陽が落ちると肌寒くなりますので、ほっとします。
メニューから、叔父は「鶏串コース」を選択して、間もなく「鶏スープ」が来ました。口当たりは、濃いめのスープですが、味は、抑え気味で、これから味わう料理を邪魔しない味付けです。同席の方は「これでラーメン食べたい」と言われていました。
叔父は、この「うかい鳥山」をざっと50回くらい利用しているそうです。プライベートや会社関係の方との集まりでちょくちょく利用していたそうです。従弟は10回くらいと言っています。
次に出てきたのは、「若竹煮」です。若竹と蕗、若芽の塩味を抑えたお出汁の味です。もちろん若竹は柔らかいです。山椒の葉が香りを締めてくれます。
続いて、蕗の薹、ぜんまい、稚鮎の天婦羅です。軽く塩がまぶしてあり、そのまま食します。蕗の薹はほろ苦い味と香りを楽しみます。ぜんまいは、昔、祖父と父が山菜取りに行って持って帰って来たり、私自身も家族と山登りで、ぜんまいわらびを春先に収穫して家で食べたことが何度もあり、味だけでなく思い出も蘇ります。そして、稚鮎。6月7月になると30㎝くらいの成魚になりますが、この時期楽しめる稚鮎。頭か尾まで丸ごと食します。ほろ苦い腸も鮎を食す醍醐味です。稚鮎なので、川魚独特の香りはそれほどではないですが、ほんのり腸の苦みを楽しめました。
2つの料理から選べます。塩焼きか鯉の洗いです。私は、鯉の洗いを選択。以前、子供の時、松江で食べたことがありますが、それ以来かもしれません。洗いは、長野県から鯉を仕入れて調理しているそうです。良くない鯉は、川臭さがひどいそうです。鯉は濁った水を好むと聞いたことがありますので、臭みを残さない育て方や調理方法があるのだと思います。この日の鯉は、絶品でした。洗い独特の、氷で締めた身で、歯ごたえ十分のコリコリとまでは行かないにしても噛み応えがあります。脂身が意外に乗って、「あれ?鯉ってこんなに脂身があるんだ」と驚きました。濃い刺身醤油とわさび、酢味噌、柚子胡椒で楽しめます。臭みを消すために酢味噌が一般的ですが、酢味噌の味見程度に付けましたが、あまり醤油や酢味噌をつけすぎず、軽くつけて食べました。
いよいよメインの串焼きです。鶏串コースでしたが、別途、和牛串も注文。
鶏モモ、手羽、つくね、肉厚しいたけと和牛です
目の前にある囲炉裏の上に、金属製のチンギスカンのような網?を置き、そのうえで、鶏と牛の串を焼き始めました。煙も楽しみながら肉から出る脂の焼けた甘い香りを楽しみます。
和牛串は、焼き方を聞かれ、ミディアムということで、最初に焼きあがりました。特性タレのツボにひと漬けしお皿の上に。わさびと黒コショウ漬けが添えられています。この黒コショウ漬けが絶品です。酒のあてにもなるのですが、お肉と合わせて食べると美味しい。はじめ硬いのかなと思ったのですが、柔らかく、胡椒の香りと醤油系のコクのある塩味です。
もも肉は、皮からじっくり焼き、向きを色々変えながら火を通します。
モモに火が通ってくるタイミングで、つくねを焼き始めます。
こちらは、個別追加したもので、わらびを出汁で煮たものです。山芋と鶏ぶしがかかっています。脂と濃い味の間に、あっさりの箸休めです。
しいたけは、甘味噌をつけて食べました。しいたけは、片面(黒面)のみをじっくり熱し、襞のある側を下にせず完成です。今まで、両面焼いていましたが、片面の方が、しいためのうまみが逃げず、美味しくいただけます。
手羽先です。骨の間にあるしまったお肉美味しいです。
お酒は、最初、生ビール、次に、ここの名物竹酒、そこから写楽を飲み、通常のメニュー外のものとして、日本酒ソムリエが直々に3本の「新政」を持ってこられ、味の説明をされました。そこから、おすすめの一本を選んで飲みました。値段は、1本、1万2000円とソムリエは言っていました。「新政」は、最近有名で話題に上る日本酒で、半年くらい前に、職場のプチ飲み会で、日本酒利き酒のお店で初めて飲んで、驚いたお酒です。この日の「新政」も、最高でした。はっきり言って、日本酒じゃないです。口に含んだ瞬間、発泡酒のようなシャンパンの感覚で、まさにフルーティー、そうシャンパンを飲んでいる感覚ですが、後味は日本酒です。すごく軽い味わいで、これは飲んでみないと分からないです。
これも個別メニューで、筍のフライです。「新政」を飲みながら、楽しみました。
いよいよ締めです。麦とろごはんです。従弟は、ここの麦とろご飯が大好きとのこと。確かにうまい。非常になめらかな食感、いや喉越しです。
最後は、「柏餅」。写真撮り忘れましたが、持ちは、団子系ではなく、お餅系で、今まで食べた柏餅とは違い、美味しくいただきました。
お土産に、「うかいのどら焼き」をもらい、売店で、「鶏の燻製」を購入しました。時計も9時を回り、最終のシャトルバスで「八尾山口」駅に戻り、京王片倉駅で従弟長男と私が下車し、従弟と色々話をしながらJR片倉駅まで行き、約2時間弱掛け、自宅に戻りました。
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