落語鑑賞(2020年1月)


今回の「JAL名人会」落語鑑賞は、今までの中で、1,2を争うくらいに面白かった。

一応、初笑い。今回の「JAL名人会」落語鑑賞は、今までの中で、1,2を争うくらいに面白かった。

全員の質が高かったことが一番ですが、なかなか体験できない面白い出来事がありました。それは、立川談笑さんが、この名人会に遅刻したこと、これはまだ優しい言い方ですが、すっぽかし掛けたというのが正しいのです。本人が、こう言っているのだから間違いないです。「家で、子供のためにクリームシチューを作り終わったころ、子供が着信が異常なほど多く来ていると伝えてくれたのでケータイを見ると、1週間間違えていることに気づいた。杉並から新橋が近くて良かった~。一応、きちんと来ているからいいでしょ!何か文句あります~?」と。それから、過去の朝のワイドショーを担当しているとき、「朝目覚めたら、自分のコーナーが終わっていたことがあった、ここまでになると結構不思議なくらい冷静なんですよ。」と。時々あるようですね。しかし、流石噺家、失敗を笑いに変える力はすごいです。この技、身に付けたいな。

JAL名人会 演目(2020年1月)
JAL名人会 演目(2020年1月)

前座:八幡様に住みついている真っ白な犬、お参りする人から来世は人間になると言われ続け、その気になって、八幡様にお願いすると、一陣の風が吹き、人間に変身した話。人間は、働かないと生きていけないと考え、良く可愛がってくれていた人を探し、弟子入れしたいと申し出る。幸いに、奉公先を見付けてくれる。まず、裸で歩いている、服を着るのも初めて、お尻を良く振る、ごはん食べるのも椀に口を突っ込む、場所場所で匂いを嗅ぐ、片足上げるなど犬のしぐさをする珍しい人として扱われる。奉公先に案内され、名前を聞かれる「白」と応えるが、犬みたいだと言われ、「ただ白」というと「タダシロ、良い名前だ」と褒められる。家族を聞かれ、父母2人の兄弟とも別れたと話し同情を買う。「釜のお湯が沸いているのでお茶淹れてくれ」と頼まれる。意味が分からない様子で「そこでちんちんしているだろ、持ってこい。」と言われると、「チンチンは得意でない」と返す。「そういうことも分からないとは、ところで何歳か」と聞かれ「今朝ほど犬から人間になりました」と答え、落ちとなる。

権助提灯(林家ぼたん):噺家とは別に、ロシア語の勉強をしている。それが縁で、ロシアで落語をすることになり、サンクトペテルブルグで講演することになった。開演5分前ほぼ人が居ない状況がそこから一気に120人参加してくれた。この話と写真を、両親に伝えると、「一度でいいからロシアに行きたい」と母がいうので「3人で」というと「お父さんとは嫌だ」と真面目に言うが、3人で行くことに。大変喜んでもらえ、親孝行して良かったという枕噺。母が、「今度行くときは、『マイルドカード』を作ろう」というので、「それは何?」と聞くと、「マイルがドンドンたまるカード」との返答。(すごい言葉作るね)。男女不平等の世の中の話が始まる。少し裕福で、外に女を囲っている旦那がいる。妻に、「外の風が強くなったね」というと、妻が「私は大丈夫だから、あの娘のところに行ってお上げ」という。夜寝静まった時間なので、こんなことで寝ている者を起こす訳にもいかないので、嫌々、一言多く、身なりも行動も汚い権助を提灯持ちにし、娘のところへ。権助は、旦那を道中揶揄う。娘のところに着き事情を話すと「そう気づかいされては困ります、奥さまのところへお戻りください」と言われ、家に戻る。妻と娘の両方から「女の意地」張りでも何度も追い返される。ついには、夜が明けてしまったという話。

孝行糖(三遊亭金朝):立川談笑さんがまだ来ていないので、順番が変わるかも、もしかすると4人で跳ねるかも、と楽屋の状態をお話になる。金朝さんは成田出身。近所にJAL関係の方がいっぱい住んでいる中、やっと「JAL名人会」に声を掛けてもらった、と感謝しつつも、もう一方は、3回も声掛けされているのにと、皮肉を絡めながら笑いを取る。金朝さんのおじいさんは、両国付近で、リアカーで野菜を売っていたという。特に、夏場は、スイカを仕入れ、飛ぶように売れていたそうで、おばあさん曰く「ひと夏で、3か月分の売上があったそうな」。江戸時代、焼き芋、大根、ごぼう、苗屋、金魚などの、「やーきいも、いも」「きんぎょーえ、きんぎょ」などの呼び声が、売る物によって、売れそうな呼び声が工夫されていたという。芋も、生芋は、ゴリゴリとした声、ふかし芋は、ふわっとした声、大根は「ん」を抜き「でいこー」、ごぼうは逆に「ん」を入れて「ごんぼー」と言ってた。新鮮な「しこイワシ」を売っていると、その後ろから「ふるいやー(粉などの振るい道具)」が付いてくるので「しこイワシ、古いやー」となり売り上げが悪くなるということで喧嘩が始まり、それを仲裁するのは古金屋(要らなくなったものを回収する)、3人並んで「しこイワシ、古いやー、古かねーや」ということで万事うまくいく。ここから本題、与太郎という一つ覚えの抜けた子がいる家に、まとまった御祝儀が入ったので、彼に職を持たせた方が良いということで、「孝行糖」という飴を、気の利いた呼び声を覚えさせ売りに出させた。非常に受けが良くて、どんどん儲かる。あるとき、静かにすべき水戸の御門前でも大声出すので、注意を受けてもやめないので侍からこっぴどく叩かれてる。それを見て、止めに入った人が、この与太郎のことを説明し連れ出すことができた。与太郎に、「どこを叩かれたのか?」と聞くと「ココとココ」(孝行糖)ということで落ち。(ちょっと微妙だけど。。。)

ラーメン屋(桂文治):本来は、トリでしたが、立川談笑さんの遅刻で、前倒し。しかし、噺ネタも良いけど、上手いね~。桂文治さん、小学校の時に、噺家になると心に決め、中学の学園祭で落語をやって卒業後、当時の桂文治さんに相談したところ「この時代、高校は行っておいた方が良い」と言われ、進学校に入学。高校卒業後、弟子入りのため上京する。そこで、テープで覚えた小朝さんの「小梅」を披露すると、嫌な顔をされたので、文治さんのテープに変え覚えた。その後、父親の反対はあったが、母親の「成りたいものをやれ」の一言を皮切りにトントン拍子で、初高座をすることに。

子供の居ない心優しい老夫婦がラーメン屋台を切り盛りしている。そこに、23歳くらいの若者が入ってきてラーメンを注文。一杯食べると「美味しかったのでお代わり」と言い、二杯目。本当に久しぶりに美味しラーメンを食べたとほめちぎる。3杯目には、チャーシューをおまけする。若者は、お昼を食べていないと言っているので、老夫婦も、本当にお腹を空かしているか、お金を持っていないのかも、と心配になりだす。4杯目を食べるころ、「お金を持っていないので、食べることも、寝泊まりする場所もないので、これから交番に行く予定。」と言う。実の両親からは幼い時に見捨てられ、貰われた家でも、中学3年生の時にいじめに遭って家出。実の両親を探すも、母親は既に癌で他界。父親は、他の女性と結婚し、金持ちになり、孫と楽しく生活をしており、昔の実子を迷惑がった。そこで屋台は閉店。重たい屋台を引いて老夫婦は帰宅をするが、「交番に急がないのなら、家まで屋台を引いてくれ」とお願いし、曳いてもらう。家に着くと、上がってもらいお酒を披露。今日の売上金と銀行に明日持っていくお金を茶箪笥の上に置いておいてくれと、爺さんは婆さんに言う。「俺、一文無しだから泥棒するかも」と若者は告げるが、「それならそれで良い」と返事。その後、すっかり打ち解けた3人。若者がいよいよ交番に行く前に、婆さんは、屋台を運んでもらったお礼としてラーメン代はチャラ。これからお金を上げるのでお願いをかなえて欲しいといい1000円払い「おとっつぁん」と言ってもらい「うあー、気持ちがええ」と感動。おばあさんも2000円払い「おかっさん」「なんだい良い気持ちだな」と金額を上げ、もっと気持ちのいいセリフをお願いする。最後には、若者もすっかりこの老夫婦が好きになり、「明日から真面目にラーメン屋やらしてくれ」とお願いする。それを受け老夫婦は、「うちはラーメン屋、細く長く本当の親子のようにお付き合いしましょう」と。

タイムマシーン3号:年末M1に出ていたよね。見たことがある気がした。結構面白かった。ボケの関太さんは腕が組めないデブネタ。ツッコミの山本浩司さんはケチャップの最後の音、マヨネーズの最後の音のものまね。山本さんは未婚なので将来の夢で「長澤まさみのように有名人と結婚したい」という。関太さんは恋愛結婚したので、夢として「お見合い結婚したい」という。このお見合いに向けて、着ていく服の話、初めて会った男女の会話が、ズレていて面白い。一番高い服を着ていくのが良いというと、スキーウェア。これが暑くて暑苦しいと力説する。デートは女性は遅れてくるもので、そこを気の利いたセリフで迎えるのが良いと振っておいて「遅れてすみませーん(女)」「いい身分だね(男)」。「このワイン美味しい(女)」「二人が初めて出会った年のワインだ(男)」(今、初めて会っているじゃん)。星空を見ながら「君の瞳は、あの星には勝てない」(逆言っているじゃん)。その後、ある言葉を言うと、その言葉を、お腹いっぱいにする言葉に変えると言って、「ことわざ」「早口言葉」「寿限無」から例を挙げ、それらをうまく言葉を変えていく。結構よかったです。

千早やふる(立川談笑):立川談笑さんは、昨年2月、自宅の逗子の初めての落語会に出演されていたので、2回目です。(その談笑さんが遅刻ですものね)枕噺は、遅刻の言い訳??

世の中、知ったかぶりをするものが居ます。八つあんの娘さんたちが輪になって百人一首を楽しんでいる。何が楽しいのかと娘に聞くと「百人一首の中にいい男が居る」そうで、それは在原業平(Wiki)。

彼の句は、「ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くゝるとは」

娘が、この句の意味を聞くので、隠居に意味を教えてい貰おうと尋ねる。しかし、隠居は、「ああ、その句の意味ね」「明日また来なさい」と返事。「本当は知らないのでしょ」と突っ込むと、「素人のあなたに分かりやすく教示するための方法を考えて置く」と。「娘に伝える話だから、簡単でいいよ」「そうか」と隠居。「もう一回、その句を言ってみなさい」「ちはやふる・・・」「もう一回言ってみなさい」「ちはやふる・・・」「ああー、出来た!」「出来たって、どういうことですか?」「いやいや」と言い、こういう解説をする。

「昔、たつた川という相撲取りが居て、出世のために女を絶って3年修業した、その後、吉原の花魁で「ちはや」という女に三日三晩アタックするが「相撲取りは嫌」と言われ振られる、別の「かみよ」という女にも振られ、ショックで相撲取りをやめ、たつた川は実家で豆腐屋になった。3年経って立派になり、井戸で釜を洗っていると、みすぼらしい女が「何か食べさせて欲しい」と言うので、卯の花を上げようとしたが、顔を合わせると、その女が「ちはや」であると分かり、卯の花を地面にたたきつける。女が帰えろうとすると、井戸につまずき、井戸の中に落ち、井戸の水を潜る。」そこに、八つあんが、句の最後の「とは」とはどういう意味か?と尋ねる。「ちはや」や「かみよ」の名前とか、「格助詞」とかは無しですよ、と念押しをされる。そこで隠居は、「フランス」の「トワ」だ、と言う。

そこで、八つあんは、この句、てっきり奈良かそこらにある竜田川に、真っ赤な紅葉が敷き詰められ、それを見た業平が、この世と思えないと言ったのかと思ったんですが、そういう意味だったのですか?隠居、「そうだよ、君のは間違っている」と堂々と否定する。という話。

知らないものは、知らないと言わないと、後で大変ですね。

意味は、だいたい、「不思議なことが多かったという神代でも、こんなことは聞いたことがない。竜田川の水を、紅葉(もみじ)の葉が紅(くれない)にくくり染めにするなんて」という意味。

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